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  • 執筆者の写真笑下村塾

オリエンタルラジオ中田敦彦さんと、吉本騒動を冷静に見つめ直す



「吉本興業問題」から芸能界は変われるのか

 宮迫博之さん・田村亮さんが謝罪会見をしたのが7月20日。その2日後に吉本興業の岡本昭彦社長が会見を開きました。さらに2日後に加藤浩次さんが、自身が司会を務める情報番組『スッキリ』で大崎洋会長と話し合いをした旨を報告。  しかし、それ以降、「吉本興業問題」は、あまり騒がれなくなりました。このまま終わらせてしまっていいのでしょうか。  今回、オリエンタルラジオの中田敦彦さんと「吉本興業問題」を冷静に見つめ直します。なぜ中田さんはこれまで沈黙していたのか。吉本内部は今どうなっているのか。中田さんが考える「吉本の利用価値」とは何なのか。「文春にも話さなかった」中田さんの本音をYouTubeで伺いました。 ご了承いただき、対談の内容を記事に致します。 https://youtu.be/eTMVYgbWWLU



吉本騒動を解禁。文春にも話さなかった中田敦彦の本音



たかまつ: 今日はせっかくYoutubeでの対談ですから、テレビではちょっと話せない本音を伺いたいなと思っています。話していただけますか?


中田: 何でも聞いてください。


たかまつ: じゃあ早速「吉本騒動」について聞きたいんです。


中田: いきなりですね。実は文春の記者が自宅前まで来たんですよ。でもその時は答えなかったんですけど、ここでは答えます。


たかまつ: なんで沈黙されていたんですか?中田さんは吉本の中で一番言いたいことがあるような方に見えるんですよ。


吉本との交渉は、ケリが付いていた


中田: 確かにね。でも、僕の中ではもうケリが付いていた問題でもあるんです。「吉本騒動」の一つ目の側面はタレントと事務所の労使問題ですから。具体的には「事務所と芸人の間で、実は契約書を交わしていなかった」という話がありましたよね。それで加藤さんがエージェント制を導入するといった提案をして一つの着地を見たわけですけど、僕はその前から準備を整えていたんですよ。キングコングの西野さんもそうですね。

たかまつ: 「ケリが付いていた問題」というと、中田さんとしては「もう好きなように活動ができるようにしていた」ということですか?


中田: そうですね。事務所の体制をまるごと変えなくても、経済的自立を整えることはできるし、実際にそうしていたんです。だから僕は積極的にコメントしなかったんですよね。もう解決済みの問題にコメントすることはなかったんですよ。 具体的には僕は吉本からの仕事の通し方を交渉していて、ある程度容認されている段階にあるんです。


たかまつ: 「オンラインサロンとか自由にやっていいよ」ということですね。


中田: そうですね。他にも僕のファッションブランド「幸福洗脳」とか、それこそYoutubeとか、僕なりの立ち位置で吉本とうまいこと利益を分けるという話し合いはある程度していたんですよね。 反対にみなさんすごい困っていたのが、吉本の「芸人の働かせ方」がものすごく古いということなんですよ。良く言えばトラディショナル、でも今の時代の感覚からするとだいぶブラックなんです。


吉本はブラック企業なのか


たかまつ: 正直に言うと、ブラック企業に見えます。

中田: それが今の感覚では普通ですよね。でも、吉本は違った見方をしていると思いますよ。むしろ「昔からするとだいぶ改善してきた」と思っているはずです。なぜなら、その改善の旗頭になってきたのが今のトップ層ですから。 もちろん他の芸能事務所や会議と比べると「全然古いでしょ」と言われると思うんですけど、この吉本のトラディショナルな方法によって恩恵を受けてきた芸人たちが多いこともまた事実なんですよ。 なぜかと言うと「自分達で何かお金を作ろう」とか「自分達の独自のプロデュースをしよう」というマインドを持っていない芸人さんが99%なんです。


たかまつ: 中田さんや西野さんが珍しいんですよね。


中田: めちゃくちゃ珍しいです。みんなすごく不満を持っていたりして、後輩や先輩に「あっちゃんどうしたら良いと思う?」と相談されたりもするんですよ。内容は思ったような生活にならなかったり、収入がもっと欲しいとかなんですけど、「こうしたらある程度は改善しますよ」とアドバイスしても、実行されたことがまずないですね。「中田さんの言うことは分かりますけど、そんなことは僕にはできない」となるんです。



反社問題の本当の怖さとは


中田: 今回の問題の争点の一つは労使問題なんですけど、実は反社会的勢力の問題の方が大きい問題ですよね。

たかまつ:みんな忘れていますよね。今回の騒動は怖いですよね。反社と密接な関係であったのは芸能界だけではなく、企業もそうだったと思うんです。みかじめ料みたいのを払って、その代わり治安がよかったみたいな。暴対法ができたことによって暴力団っていうものを一斉に排除しましょうって、その結果暴力団とかがどんどん力をなくしてって、半グレという人たちがでてきましたよね。半グレは組織を持っていないので、アメーバ状に繋がっています。「今回詐欺をやるんだったら、この友達とやろう」いうような形で、組織化されていないので、警察も実態を掴んでいません。

 だから、より我々の一般社会に入ってくる可能性がありますよね。なので、反社のことをあれだけ一緒に写真写っていた人たちを叩くってことは、自分達一般人も叩くことになりますよね。会社の社長とか、部長クラスの人たちも一緒に、ハメ撮りみたいな形でやったら、その人の地位を簡単に奪えるようになるって結構怖い社会だなって思いましたけどね。

吉本は反社との関係を断ち切れていない?


中田: おそらく反社会的勢力との関係を100%は断ち切れてないからだと思います。たかまつさんの「説明すべきである」という発言は、核心を突いているんですよ。なぜなら、この問題を解決する唯一の手段は契約書を作ることだからです。取引をするときに必ず「反社会的組織じゃありませんね。それを認証した上で私達は取引します」という文書を交わすことが最終的な落としどころなんですよ。でもそこに関しては吉本は二の足を踏んでた。企業として書類文化を導入するのは面倒だから。


たかまつ: 世間も許さないと思うので契約書は作ることになりますよね。公正取引委員会も吉本の契約書は交わさない方針に対して懸念を示していましたし。普通に考えたら、これで書類文化を導入するはずですよね。


吉本は、契約書を作らない可能性大


中田: でもそんなにスピーディーには変わらないと思っています。今吉本は全タレントに「契約書をちゃんと作りたいですか?」というアンケートを取っているんです。芸人の性格をよく知っている行為ですよね。


たかまつ: そうですね。アンケートの結果、「契約書を作りたい」と言う芸人は少なそうですもん。


中田: そうなんですよ。僕の感覚ですけど99%が「契約書は作らなくて良いです」と言うでしょうね。その民意を盾に契約書を作らない方針を続けようとしているのが吉本です。


たかまつ: 中田さんが抗議した方が良いんじゃないですか?


中田: でもこれは、正しさよりも満足度だと僕は思っているんです。芸人さんの契約書を作る必要を理解していない状態で僕が無理矢理「契約書を作りなさいよ」と主張したところで、事務所側も芸人側も「中田はなんか過激だ」とだけ思われて終わっちゃいます。だとすれば、僕は無理に契約書を作る文化を導入することをせずに、僕自身のイズムに共感してくれた人に対しては、正しい道筋を示すというやり方を続けようと思いますね。





なんで吉本を辞めないんですか?


たかまつ: あと一つお伺いしたいことがあるんです。中田さんは絶対一人でもやっていけますよね。なんで吉本を辞めないんですか?


中田: いつでも、辞めそうではありますよ。


たかまつ: それでも辞めない理由は、吉本に所属していることでうまみがあるからなんですか?


中田: 吉本は今回の騒動のこともあるし、労使問題の古さや変わらなきゃいけないこともあると思うんですけども、良いとこだけピックアップすると逆に言えばこんな会社すごく少ないんですよ。


吉本の真の価値は、知名度


たかまつ: 吉本はどんな価値を持っているのでしょうか?


中田: 他業種の人にも、その仕事内容と社名を知られている会社って本当に少ないですよね。例えば「芸能事務所を何個か挙げてください」と聞かれたらジャニーズさんとかホリプロさんとかくらいしか挙がらないと思うんですよ。その中でも「お笑いの事務所と言えば?」と聞かれたら吉本は必ず入ってきますよね。

なぜここまで認知されているかというと、100年間積み上げてきた吉本の歴史があるからなんです。この歴史は今トップランナーとして仕切っているプレイヤーのものでもなければ、今経営している人達のものでもない。それは文化として日本人の中で積み上げられてきた過去の偉大なる先人達の賜物なんです。それに関しては客観的に見てとても価値があるなと思いました。

たかまつ:キングコングの西野さんはよく「吉本の劇場で漫才をしたいから、自分は吉本にいる」とおっしゃっていますよね。でも、オリエンタルラジオさんって、今はライブにも出ていないですよね。そうすると「お笑いと言えば吉本」という知名度を持っている必要はないんじゃないですか?


中田: 僕はタレント業をセーブしてビシネスっぽいことをして、違うジャンルの人と話すことで改めて分かったことがあるんです。それは、僕なんかより遥かに経済的な価値を生み出してる社長さんとかであっても、僕のことをすごく羨望のまなざしで見るということです。


たかまつ: それはそうじゃないですか?


中田: なぜそう思います?


たかまつ: だって中田さんはテレビスターですもん。


テレビスターの経済価値の限界と可能性


中田: そこなんですよ。 でもテレビスターが生んでる経済価値は、ビジネスパーソンが生んでる価値の100分の1だったりします。それでも尊敬されるということは、数字に表れない価値がタレントにはあって、それは僕らがみなさんに知っていただいてるとていう知名度が作り出しているんです。知名度とか人気とか、そういう目には見えないし、お金にも換金されていないものが価値だと認識した時に、吉本興業の持っている価値がとてつもなく大きいものだと分かるんです。


たかまつ: どんなに成功したビジネスパーソンでも獲得し得ないのが、中田さんほどの知名度かもしれないですよね。

中田: だからこそ、国もそういうところに信頼してメリットを感じるからタレントに仕事を振ったりするわけですよね。そこに目をつけている吉本のトップは頭が良いと思いますし、吉本の価値が何かをよく分かって動いていると思いますよ。


●最後にー中田さんの勇気を無駄にしないー

中田さんには勇気をもってお話いただきました。このお話を無駄にしないよう、芸能界が取り残されないように、きちんと前進してほしいなと思っています。自分のいる組織を冷静に分析し、それを公の場で発言できるって本当にすごいと思います。

よろしければ、YouTube「たかまつななチャンネル」で、同内容の動画もご覧ください!



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