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  • 執筆者の写真笑下村塾

オリラジ中田敦彦さんが語るYoutubeの攻略法

オリエンタルラジオ中田敦彦さんとの本音対談、第三弾。テーマは、ずばり「YouTubeの未来と戦略」です。中田さんはこれまでにオリエンタルラジオ、パーフェクトヒューマンで実積を積み上げ、今では「中田敦彦のYouTube大学」を運営。しかも99万人の登録者数を誇ります。

芸能界、音楽、そしてYouTubeと全ての領域で結果を出している中田さん。自分のいる場所の未来に起きる変化について、どんな仮説を立てどんな戦略を考えているのか。 YouTubeの未来がはっきり見えている中田さんの「YouTube論」をご覧ください。

中田さんの意見をYouTubeで伺い、了承をいただいた上で対談の内容も記事に致します。



YouTubeはテレビの歴史を10倍速でトレースする

たかまつ: 「中田敦彦のYouTube大学」を開設して4ヶ月が経ち、登録者は99万人にも登りました。教育系のYouTuberとして手ごたえはいかがですか?


中田: 手ごたえはありますね。というのも、僕はYouTubeに対して仮説を立てているからです。それは、「YouTubeはテレビが歩んできた歴史を10倍速でトレースしている」という仮説なんです。 元々ヒカキンさんやYouTubeのパイオニア達はキッズチャンネルなどがメインでしたよね。これはテレビの歴史と合致しているんです。例えばフジテレビが「楽しくなければテレビじゃない」を打ち出したのは80年代からなんですけど、それ以前のキャッチコピーはご存知ですか?


たかまつ: いえ、知らないです。


中田: 「母と子のためのフジテレビ」というキャッチコピーで、今と全く違うんですよ。 実はテレビが始まった頃は、元々はEテレや教育テレビのように親向けのコンテンツが多かったんです。ところが、若者もテレビを見るようになってから、激しい内容のコンテンツが出てきました。例えばビートたけしさんや明石家さんまさんとかが、高級車をぶっ壊したりとかしてませんでした? 今のYouTubeでいうとヒカルさんやラファエルさんがやっていることは、80年代フジテレビのノリなんですよ。ランボルギーニ売ってみたとか買ってみたとかね。


たかまつ: 確かにそうですね。株式会社VAZというYouTubeの会社の人に「古いテレビの企画をたかまつさんが作れば絶対に当たります」と言われました。


中田: そうだと思います。YouTubeはテレビをトレースしてるんですよね。 なので、80年代のバブル時代などのテレビに勢いがあった頃と、今のYouTubeはメディアの形が酷似しているんです。 では、YouTubeで次に何が起きるかを知るには、テレビで起きた変化を見れば分かるんです。テレビは子供向けから若者向けになった後は、ミリオネアやヘキサゴンが人気を集めたんです。つまりクイズです。YouTubeでいうとQuizKnockさんですね。


YouTubeで次のブームは教育だ


たかまつ: クイズの次の流れも仮説を持っているんですか?


中田: こういったクイズの流れのその後に注目されるのは、教育なんですよ。テレビでいうと「世界一受けたい授業」や「池上彰のニュースそうだったのか!!」です。だから僕はYouTube時代の教育者のポジションを取るために、YouTube大学を続けています。


たかまつ: すごいですね!そこまでYouTubeの未来を見通せるなんて。


中田: 視聴者の成熟とメディアの成熟が起きることは必然の流れです。だから過激なチャンネルはどんどんバンされるようになります。YouTubeも次第にバンが起き始めましたよね。テレビでもその流れは起きました。昔は無茶苦茶なテレビが沢山あったんですよ。お色気もそうだし、暴力もそう。それがどんどん終わっていった流れと、今のYouTubeのフェーズが似てるんですよ。だから今のYouTubeは80年代末のテレビにすごく似ているんです。


たかまつ: 怖いくらいYouTubeとテレビの流れは共通点がありますね。


中田: ここからテレビの1990年代、2000年代に起きたことがYouTubeにも数年で起きると思っています。仮説ですけどね。「YouTube大学」では、この仮説を検証する実験をしているつもりです。


たかまつ: 中田さんの仮説は当たっていると言えますよね。チャンネル登録者数が99万人で、100万人突破も目前ですから。


オリラジ中田の中にある4つの人格


たかまつ: 中田さんは「テレビで起きたことはYouTubeでも起きる」という仮説を立てて、YouTube時代の教育者のポジションを取る戦略を実行されています。そんな戦略家の一面も持つ中田さんが、仮にたかまつななをプロデュースするとしたら、どんなことをさせますか?


中田: 歯に衣着せずに言うとしたら、たかまつさんが出版した『政治の絵本: 学校で教えてくれない選挙の話』について言いたいことがあります。あれ、僕もYouTubeで紹介したし、すっごい面白かったんですけど、ちょっと読みづらいなって思ったことがあるんです。表紙と絵柄が手にとりづらかったんですよ。


たかまつ: ありがとうございます。おかげさまで、アマゾンの選挙ランキングで1位になりました。どの辺りが手に取りづらかったですか?


中田: まず、たかまつさんが全面に出ていて、その上で絵を見た時に少女マンガチックなんですよ。ここの絵が人をすごい選ぶんですよね。これはたかまつさんの好みだと思うんですよ。僕はそれは全然悪いことじゃないと思っています。僕もファッションブランド「幸福洗脳」を展開しているように、好きなものを追求することは僕も好きなんですよ。 だけど、僕はYouTube大学で話す時はスーツを着ている。オリラジの中田とパーフェクトヒューマンの中田も格好が違いますよね。パーフェクトヒューマンはサングラスをかけて、真っ黒いロングジャケットを羽織っています。で、オールバックにしてるんですよ。でもYouTube大学には向いてない姿のキャラクターです。


たかまつ: なるほど。全部キャラクターが違うんですね。


中田: 全然違うんですよ。YouTube大学の中田、パーフェクトヒューマン、オリラジあっちゃん、中田敦彦。この4つは全く違う商品なんですね。これを全部混ぜちゃうと食べづらいということです。


たかまつ: 私、全部混ぜた状態になっちゃっています。「たかまつはいろんなことをやりすぎている」とよく言われます。


中田: 僕はたかまつななさんのこのファッションは、お嬢様芸人としては全く間違っていない自己プロデュースだと思っています。でもお嬢様芸人のブランディングのビジュアルイメージと、お笑いジャーナリストとしてのたかまつさんのブランディングが混ざっているから、『政治の絵本: 学校で教えてくれない選挙の話』はちょっと食べづらかったです。


たかまつ: お嬢様芸人とお笑いジャーナリストは分けた方が受け入れられやすいんですね。この後にすぐAOKI行きます。スーツ買いにいきます。

中田: お嬢様ネタをする時と、政治の話をする時はビジュアルイメージの作り方を変えるだけでも結構変わると思いますよ。キャラクターと一緒にビジュアルも切り替えるということです。


これからYouTubeは「巨大資本のプレイヤー」が参入する


たかまつ: YouTube時代のキャラクター戦略もお持ちの中田さんから見て、これからYouTubeはどんな時代に入ると思いますか?


中田: もっともっと巨大な資本と、とてつもないプレイヤーが参入してくるのは間違いないと僕は思っています。僕の次のフェーズが来るわけですから、これも必然の流れですね。


たかまつ: 今はYouTubeは個人や少人数の人が出ていますが、これからは集団でやってくるということですか?


中田: そうなんです。僕が注目しているのは「ナスDの大冒険」というYouTubeチャンネルです。あれは面白いんですよ。運営しているのはテレビ朝日の友寄隆英さんというクリエーターなんですけど、お会いしたことあります?


たかまつ: いえ、ないです。


中田: 僕は友寄さんに非常にお世話になったんですね。友寄さんはテレビ朝日の中でも5本の指に入るほどの実は偉い人です。なぜなら「黄金伝説」や「帰れま10」を総監督として作っていた人なんですよ。僕があの人を面白いと思う理由は、友寄さんのイズムと番組が合致しているからなんです。


たかまつ: 自分の価値観と番組の内容を一致させられる人は、稀有な存在ですよね。


中田: そうなんです。友寄さんは「人間が極限状態まで追い詰められた時に食うものが一番面白い」と思って、その絵を撮り続けているんです。「黄金伝説」の名ゼリフである「獲ったどー!」もそうですよね。「帰れま10」も夜中に追い詰められた人間がものを食う姿を映しています。


たかまつ: どうして友寄さんは「人間が極限状態で食べる姿」に興味があるんでしょうか?


中田 僕の見立てだと「人間の原始」に興味があるんじゃないかと思っています。「ネイティブな人間の根源的な欲求を撮ると人が見える」というイズムを持っていると思うんですよね。 このイズムを今度は自分で表現し始めたのが「ナスDの大冒険」なんです。もちろん、U字工事さんを引き連れていったんですけど、インパクトで追い抜いちゃったんですよ。自分で染料か何かを塗ってナス色になっても「それでもいいや」と言いながら、サメを食べるんです。今77万人の登録者を抱えるチャンネルにまでなりました。


たかまつ: ものすごいインパクトですね。


中田: しかも何が面白いって、あのチャンネルはテレ朝の許可を得ずにやっているんです。だからなのか、YouTubeチャンネルの更新が今は止まっているんです。僕は友寄さんの周りのスタッフさんとも仲が良いので、その騒動も聞いています。どうやら、友寄さんは勝手に自腹で撮影しているらしいですよ。

たかまつ: 大問題になったから、更新が止まったんでしょうね。


YouTubeは これから戦国時代に


たかまつ: 中田さんにはYouTubeの未来がはっきり見えてるんじゃないかと思っちゃいます。巨大資本のプレイヤーが参入して来る今の時期にしておきたいことはありますか?


中田: 巨大資本が軍隊でやってくる前に、一つランドマークになる成果を上げたいですね。そうすれば資本を勝ち取って軍隊化していくということができるようになります。この状況は平安時代の末期に似てるんですよ。


たかまつ: YouTubeにこれから起きる変化は、平安時代の末期を見ると分かるんですか?


中田: 荘園制ってあったじゃないですか。公地公民から荘園になったのが平安の頃ですよね。貴族が、朝廷にも入り込めない領土を持っていた時期です。今度はその領土を守っていた武士達が力をつけていって、独自の自分達の場所を作るようになった時代ですね。それこそまさにYouTubeと言えます。大手メディアが手出しできない、独自の経済圏が生まれているのがYouTubeです。


たかまつ: そこに友寄さんのように内部の人が反乱して変化を起こしているのが、YouTubeの今なんですね。


中田: そうです。そして元公家のよう人達が、今度は戦国武将になってくるわけですよ。そこに先んじて先を見通す目があれば、どこと上手く手を組んでこの戦国時代を戦っていくのかが見えてくると思うんです。


たかまつ: 今後の戦国時代、誰と手を組みたいかと考えたら絶対に中田さんです。芸能界に入って、中田さんみたいな人もいらっしゃることを知ってとても嬉しかったんです。キングコングの西野さんと一緒に飲ませていただいた時にも、本当にこの世界に入って良かったなって思いました。


中田: 僕で良ければいつでも呼んでください。

たかまつ: 今日は貴重なお話をありがとうございました。「吉本騒動への本音」から「若者が政治に興味を持つ方法」、「YouTubeの未来と戦略」をお聞かせいただきました。具体的な人の名前や戦略などもたくさん話していただきましたが、ノーカットで全部YouTubeで流してしまって大丈夫ですか?


中田: もちろんですよ。僕は「面白いかどうか」が行動基準ですから、面白いと思っていただけたなら嬉しいです。

たかまつ: 逆に私が心配になっちゃいました。面白い話をたくさんありがとうございました!


●最後に

 中田さんが、正論を振りかざしても誰もきいてくれない。だから、実績を残す。とおっしゃり、それを緻密な分析と、行動力で、すべて結果を出されているのが本当にかっこいいなと思いました。芸能人の方とはいえ、数ヶ月でYouTubeチャンネル登録を100万人にまでするというのは本当にすごいです。  今後、YouTubeは、テレビを10倍速にするトレースしていくというのは、なるほどと思いながらも、チャリティや福祉は、誰がどうサポートしていくのかが気になりました。大手YouTuberの事務所が、そのようなチャンネルをCSRの文面で展開していくのでしょうか。  ドキュメンタリーなどもYouTubeでは豊富ではありません。ネットメディアが台頭する中、ルポや調査報道などをYouTubeで展開できたらいいのにと思っています。笑下村塾はまだまだお金にも人にも体力がありませんが、徐々にできることをやっていきたいと思います。  お忙しい中、ご出演いただきました中田敦彦さんには感謝の限りです。 よろしければ、YouTube「たかまつななチャンネル」で、中田さんと対談していますので、下記ご覧ください。




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・対談第二弾




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