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  • 執筆者の写真笑下村塾

高校生でも国を動かせる!? 日本で今注目の「若者議会」

※共同通信配信の有料メディア向けコラムから転載(2023年06月12日)


 今年の4月、「こども基本法」が施行され、国や地方自治体は、子ども政策を決める際には子どもの声を聞くことが義務づけられた。世界では、「子どもの権利条約」で規定された、子どもが自由に意見を表明できる「子どもの意見表明権」が重視され、子どもの声を聞くさまざまな仕組みがある。その中で、今日本で注目されている「若者議会」について、イギリスやフランスで取材した。日本国内の最新動向も併せて紹介したい。


17歳が首相に請願

 イギリスの若者議会のメンバーである17歳の高校生デヴさんは、なんと国を動かしたのだ。コロナ禍のロックダウン中に気づいた、大量に表示されるジャンクフードのオンライン広告。高校生の健康を害するのではないかと考え、デヴさんはイギリスの首相に対し、規制を求める公開書簡を書いた。そして、なんとイギリスでは、ジャンクフードの広告規制が新たに課せられたのだ。このように高校生でも、社会を変えている。

 こちらが取材した動画だ。



 そんなデヴさんの所属するイギリスの若者議会は、イギリスの地区ごとで選挙を行い、各地域の代表者となる若者を選抜している。そこでは、特に重点的に推進する政策も若者の投票で決める。若者のメンタルヘルス、気候変動問題、政治家に立候補できる年齢(被選挙権)の引き下げなど、若者の利害に大きな影響を与えるテーマが話し合われている。若者議会のメンバーは、実際の下院議員とも議論する仕組みとなっている。

 メンバーが多様になるように、運営団体が、例えば貧困層の多い地域だと、そのような家庭の子に立候補しないかと呼びかけたりする工夫を行っている。このような若者議会は地方自治体にも設置されるなど、若者の声を行政側が聞く努力がなされている。マンチェスターユースカウンシルの担当者に話を聞くと、若者議会を卒業したメンバーが地方政治に関心を持ち、地方議員になることもよくあるという。


フランスの青少年議会

 フランスには、青少年議会という若者による議会を、地方自治体が行っていることがある。クレテイユ市の青少年議会を取材した。青少年議会の主な目的は、若者に対し地域について学ぶ機会を設けることと、若者が政治に何を期待しているのかを知ることだ。

 私が取材したのは、2022年のフランス大統領選挙の翌日。この日の議会には副市長も参加し、大統領選の結果について話し合ったり、インターネット投票導入の是非について議論したりした。子どもたちが、スケートボード場を建設するよう提案し、今検討されているほか、LGBTについて学生向けのワークショップを開催するなどしているそうだ。


尼崎ユースカウンシル

 このような取り組みは、日本でも行われている。愛知県新城市では、条例で若者議会が定められており、市の予算のうち、最大で年間1000万円の使い道を決められるようにしている。

 兵庫県尼崎市のユースカウンシルも取材した。尼崎では、若者たちの居場所として作られた「尼崎市立ユース交流センター」をハブに、NPOの職員が運営していた。ユース交流センターは、不登校の子や学校になじめない子といったさまざまな子どもたちの居場所にもなっているため、抱えるリアルな悩みについて活動する子が多かった。「親から虐待を受けたことがあるから虐待を減らす提言をする」「両親が共働きで、食事を一人で食べる『孤食』が寂しいから、食事のイベントを企画する」「ヤングケアラーの当事者だから、行政に当事者目線で提案する」などという活動だ。

 尼崎で取材した動画もたかまつななYouTubeチャンネルにアップしている。ぜひご覧いただきたい。



高校生が県を動かす

 群馬県では昨年、私たちの会社「笑下村塾」と県が共同で、高校生による知事への提言会を開催した。そこで、「学校が早く閉まり、自由に使える自習室がない」という提言が出たのに対して、新たに県の旧庁舎が自習室として開放された。毎日8時半から夜9時まで使える。

 他にも、「群馬県は中高生の自転車事故が全国でも多いから、自転車専用のレーンを作ってほしい」という提言がなされた。そこでの議論をきっかけに、特に高校生が危険だと感じていた伊香保温泉の道路を改善しようと、同温泉がある渋川市の道路課と群馬県の道路課で対策チームができ、月1で話し合いが行われることになった。そこに高校生が参加して、提言をしている。ここでも高校生が社会を動かしている。

 群馬県では引き続き、若者の意見を積極的に取り入れた行政運営を行っていく方針だ。

 高校生でも社会を変えられる。このような成功体験を若者議会のような仕組みを通じて積み重ねる。自信をもってもらい、社会で新たなイノベーションをおこし、社会変革をどんどんしていく人材を作っていきたい。子どもの声はマイノリティーとなり、社会では反映されにくい。だからこそ若者議会で、社会を変えよう。


☆たかまつなな 「笑下村塾」代表、時事YouTuber。1993年、神奈川県横浜市生まれ。大学時代に「お嬢様芸人」としてデビュー。2016年に若者と政治をつなげる会社「笑下村塾」を設立、出張授業「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶSDGs」を全国の学校や企業、自治体に届ける。著書に『政治の絵本』(弘文堂)『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』(くもん出版)がある。



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