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「政治の力で社会は変えられる」ピースボートで世界を旅したれいわ新選組共同代表の櫛渕万里さんが目指す平和で豊かな社会とは

  • 執筆者の写真: 笑下村塾
    笑下村塾
  • 4 日前
  • 読了時間: 11分
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政治家の個人的な部分にまで踏み込んで質問することで、その人柄を知り政治に興味を持ってもらおうというインタビューシリーズ。今回は、れいわ新選組の共同代表で衆議院議員の櫛渕万里さんにお話を伺いました。


ピースボートに17年間勤務したあと政治の世界に飛び込み、山本太郎代表の姿に衝撃を受けて れいわ新選組に所属。約80の国と地域を旅して政治の力を信じるに至ったという櫛渕さんに、格差是正や世界平和にかける思いを聞きました。(取材:たかまつなな/笑下村塾) ※こちらは、2025年10月23日に収録した内容です。


ピースボートで80の国と地域を旅した


ーー櫛渕さんはピースボートに勤務されていたんですね。よくポスターが貼ってありますね。船に乗ってみたいです。


櫛渕:地球一周の船旅、きっとハマりますよ。地球一周って3か月かかるんですけど、それで100万円台というのは破格だと思います。今、海外に行くの高いじゃないですか。だからあの頃、地球一周をソーシャルビジネスと位置付けて始めたんです。クルーズと言えば一部の富裕層のものだったのを、誰でも参加できるような旅にしたというところがありますね。


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ーーピースボートに17年間勤務して、80の国と地域に行ったことがある人はなかなかいないですよね。印象に残っている国はありますか?


櫛渕:船で地球一周すると、だいたい3か月で20か国に行くんですよ。先に行って交流プログラムを作ったりするので、数だけは増えましたね。それぞれの国が独自の文化を持っているし、興味深いところばかりなんですけど、政治絡みですごく印象に残っているのは南アフリカです。アパルトヘイト、人種隔離政策をやった後に、黒人初の大統領でネルソン・マンデラさんが政権を取りました。そこで国づくりを始めた一個一個を、当時直接現地で見させてもらいました。


南アフリカで目の当たりにした「政治の力」


ーーそのときに行かれたんですか。すごい。


櫛渕:あれはすごい衝撃でしたね。少数の白人の支配で、黒人のいわゆるゲットーみたいなものが隔離される。貧困だし、暴力もあるし、それを変えようといろいろな闘争がある。そのアパルトヘイトが終わったときに、そのまま放っておいたら内戦になるんじゃないかと言われていたところを、ネルソン・マンデラさんは虹の国を作るんだと言って、多様性や民主主義を重視した国づくりに挑戦するんですね。


すごく印象的だったのが、国会議事堂みたいなところに行くと、民族が白人と黒人だけじゃなくて11民族ぐらいいて、その人たちの言語を全部公用語にしているので、公用語が11もあるんです。それぞれの民族が自分の言葉で、自分の文化を持って国会で話ができるインフラを作っていてびっくりしました。


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ーー全部公用語にするというのはすごいですね。


櫛渕:内戦を防いでいる仕組みでもう1つすごいと思ったのは、「真実と和解委員会」というのがあって、被害者と加害者がいるときに、公聴会で被害者の訴えをきちんと聴いて、それに対して加害者が誠実に話をすると刑事罰の恩赦が受けられる制度がありました。そういう黒人が政権を取った国が前に進み始めて、その後、経済的にいろいろ問題を抱えてはいるものの、大きな戦争状態にならなかったのはすごいと思います。政治の力ってすごいなと初めて衝撃を受けたのが南アフリカでしたね。


ーー櫛渕さんのように、世界の現場を分かっている方が、もっと国会にいてくれたら心強いですね。


櫛渕:民間に結構いると思うんですけど、そういう人がもっと永田町に入ればいいと思います。よく外交安全保障は専門家の領域のように言われますけど、実は一次情報をNGOが持っていたりするわけですよね。ヨーロッパやアフリカではNGOと共同で政策に反映させるやり方をしていたりします。だから日本のようにお上が情報を全部コントロールして、スパイ防止法を作るんだみたいな、そういうことだけではない世界がたくさんあることに気付いてほしいです。


日本の自殺者を政治の力で減らしたい


ーー政治家になるきっかけもNGOでの経験からですか?


櫛渕:NGOで世界各国に行くと、日本のいいところも悪いところも見えるわけですよ。一番大きかったのは、当時NGOをやる一方で、国内で自殺者が年間3万人、世界一自殺者が多い状態が10年続いたんですよね。これ何なんだろうと思って。やっぱり国内の問題に目を向けて、政治から変えていきたいと思ったのがきっかけでしたね。


特に自殺者は全体の世代で数が減っているのに、子どもの自殺者が増えているのはかなり衝撃じゃないですか。529人が亡くなるということは、おそらくその背景には、心を病んでいる子どもたちがもっと多くいるということですよね。そんな社会を大人が作り出しているのであれば、政治が、それを変えなきゃいけないと思いますね。


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ーー主権者教育で全国の学校を回る中で、子どもたちの話を聞くんですけど、管理教育が行き過ぎていると感じます。


櫛渕:先生もすごく苦しい働き方を強いられているじゃないですか。心ある先生はたくさんいると思うけど、子どもたちに向き合う時間がなかったりして、教育のあり方が根本から間違っていますよね。れいわ新選組に奥田ふみよという人がいますが、彼女も子どもプロジェクトをずっとやっていて、子どもたちが声を上げられる場がないから、何でもいいから思ったことをDMちょうだいって言って、日本中から声が寄せられているみたいなんです。先生に直接問題提起をしたりしているみたいなんですけど、それを政治の側からどうやっていくのかも一緒に話し合っていけるといいですよね。


たった1人で国民の中に飛び込む姿に衝撃


ーーれいわ新選組は2019年の4月に結党されました。どういう経緯で所属されたのでしょうか


櫛渕:私は民主党政権時代に国会議員1期目、いきなり与党だったんですよ。3年3か月で民主党が下野して自民党政権に戻るじゃないですか。民主党が政権を降りた後、落選が続いていて群馬の実家の幼稚園、保育園の事業に戻ろうかと思う時期があったんですね。結局、自民党も民主党も、永田町が数合わせで政治を変えようということをやっていて、私は向いていないかな、数合わせは無理だ、ついていけないと思ったときに山本太郎がれいわを立ち上げたんです。


彼は何をしたかというと、永田町を飛び出したんですよね。たった一人で永田町から国民の中に入っていって、一人で党を立ち上げて、みんなと変えるんだとやり始めた。あれはすごい衝撃で。たった一人でも本気になって国民の中に飛び込んで、最初の選挙で2議席、船後さんと木村さんが国会に入っていくじゃないですか。


ーーすごく勢いがありましたよね。


櫛渕:難病や重度障害を抱えている人たちが国会のど真ん中にいて、当事者の声を伝えるんだという。当時、本気の政治家にはみんなは立ち上がるし、ついてくるし、どんどん自らチラシを配ったりとか、改正の手伝いをしたりとか動き出すということが、頭の上に雷が落ちたような衝撃だったんですよね。そのときに、勝っても負けても関係ないと。もう一回同じ思いで政治に挑戦してみようと思って山本太郎代表のところに行って、れいわに入ったのがきっかけでした。


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ーー山本さんはあのとき、重度障害者の方を国会に送り込むという覚悟も含めてかっこよかったですよね。参議院選挙では保守的な党が大きく票を伸ばしましたが、最近の党の状況はどうお感じですか?


櫛渕:この間の参議院選挙、思ったより伸びなかったんですよね。でも、負けたとは思っていないんですよ。全体の比例票は伸びていて、1議席も増やしているので、着実に増やしているというのがベースにはありますね。ただ、国民民主党とか、参政党とかがぐわっと伸びたような勢いをもう一回、われわれも取り戻したいという思いはあります。国民をいかに30年の不況から救っていくか、暮らしを底上げしていくか、経済再生していくか、これを一丁目一番地としてやってきたので、そこはぶれずにまっすぐやっていく必要があると思います。


生きているだけで価値ある社会を作る


ーーれいわ新選組を支持している人たちは、どういう人が多いですか?


櫛渕:いろいろな人がいます。生活が苦しい人が多いのかと言われることもありますが、もちろんそういった人たちもいる一方で、いわゆる競争社会の中で成功者のように位置付けられているような人たち、これじゃいけないよねと思っている人たちも一定層すごく支援をしてくださっています。変えたいと思っている人の受け皿にもっとなりたいと思います。


あとロスジェネ世代は多いですね。山本太郎代表自身がそうだというのもありますし。声を聞いてもらえてこなかった人たちの具体的な生活の支援とか、法整備とか、非正規雇用の是正とかに取り組んでいきたいです。


ーー改めて、れいわ新選組が一番大事にしている理念は何でしょうか?


櫛渕:生きているだけで価値ある社会を作る。あともう一つは、日本を守るとはあなたを守ることから始まる。これがわれわれの綱領のまず一行目に書いてあることなんですね。国家のために国民があるんじゃなくて、国民がいてこそ社会があって、国があるんだ。だから生活が苦しいって国民が言っていたらそれを助けるのが当たり前の政治だと思います。


ーー生きているだけで価値があるって、その言葉で救われる人は本当にたくさんいますよね。


櫛渕:多くの方が、山本太郎のYouTubeを見ているよって言ってくださるんですけど、一番声が多いのは小倉の演説で「生きててくれよ」っていう演説。あれは私も何度見ても胸打たれますけど、本当にそういうことですよね。あなたの役割は何とか、会社でも家庭でも学校でも、どこまで役割果たしたみたいな、そういうことじゃなくて、あなたはあなたのままでいいんだよ。それを支えるのが政治だよ、そういうメッセージをもっともっと広げていきたいし、それを求めている人は本当は多いと思います。そういう人たちとつながっていければと思います。



消費税の廃止して生活の底上げを

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ーー若者政策ではどんなことに力を入れていきたいですか?


櫛渕:公約に掲げているのは、奨学金返済ゼロ。教育費の完全無償化。あと若い人に限らないですが、消費税廃止。少子化の原因も、みんなの息苦しさも、経済面から来ているんじゃないかと思います。30年前と比較すると、所得の中央値が約140万円も下がっていて、経済そのものも悪くなっているし、中小企業もバタバタと潰れて、ここ最近でも1万件以上潰れていて、不況型倒産が8割なんですよね。それなのに消費税を払わなきゃいけない。根幹の問題がそこにあると思っているので、全ての世代で消費税をなくして生活を底上げしていくことが大きな政策です。


ーー消費税をなくした分、税収が大きく減りますが、現実的にはどうするお考えですか?


櫛渕:(税収の減少は)26兆円ぐらいありますね。よく財源どうするのと聞かれますけど、財源はあるんですよ。もっと言えば、経済成長が財源ですよね。経済成長すれば税収は伸びるわけで、それを社会保障にも回せるし。その間のつなぎとして、国債発行をします。


ーー法人税と所得税を上げていくイメージですか? 


櫛渕:同時並行です。まずは国債を発行して使えるお金を増やしていく。みんなが使えるお金を増やして消費力を大きくして需要が伸びれば、景気も回復する。景気が回復すれば売上も伸びて賃金も上がるし年金も上がる。税収も増えるという循環をしっかり作っていく。あと、不公平な税制、法人税を上げたり、金融所得課税を上げたり。その両輪になっていくと思います。


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徹底的な平和外交で世界平和を目指す


ーー選挙のとき、れいわ新選組に投票した方がいい理由を教えてください。


櫛渕:あなたが幸せになれる。自己責任社会はやめていこうということです。一部の人たちの支配というか、搾取というか。お金のない国民から増税とか、社会保険料とか、ないところからどんどん取っていっていると思いませんか? 大企業や財界だったりにはお金がふんだんに回っていて、政策優遇もされている。偏った政治の仕組みの中で格差が拡大しているわけですよね。だから1%の富裕層の人たちと、99%のどんどん取られるばかりの人たち、これをひっくり返していこうというのがれいわ新選組の考え方です。


ーー今、議員定数の削減について議論されていますが、どうお考えですか?


櫛渕:大反対ですね。われわれの議席が減るからではなくて、最大の問題は、既存政党、大政党にとって有利なので、権力を固定化させてしまうことです。特に比例を減らすと、小選挙区で勝っている既存の政党の権力が固定化する。そうなると、あなたの声が切られてしまいますよ、地方の声が届かなくなりますよということになるので、少数者の声が切られてしまうのは民主主義に反すると思います。


ーー最後に、もし櫛渕さんが総理大臣になったらやりたいことは何ですか?


櫛渕:世界平和です。東アジアで絶対に戦争させない。これは自分が政治家になったときにまず志した大きな目標ですね。対米自立も含めて、政治の最大の役割は戦争をさせないことじゃないですか。東アジアで戦争を起こさせないためにどうしていくのか、真剣に考える時期に来ていると思います。戦争を始めるのは古今東西、政治家や権力者なわけですよ。犠牲になるのは国民。それをつぶさに目の当たりにしてきたのがNGO時代の17年間でした。


ガザが象徴的ですけど、国際法が今どんどん守られなくなっている。核兵器を持っている国が戦争をしたり、紛争を仕掛けたり、これまでに考えられない状況が生まれています。非核三原則について、高市さんは邪魔だと言っているみたいですけど、唯一の戦争被爆国として、一国の総理としてありえないですよ。非核化を軸に、核に頼らない、核の傘から非核の傘へ、というのを進めていきたいです。平和外交に徹底的に力を入れていきたいと思います。


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