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せやろがいおじさんと語る、沖縄基地移設問題「“沖縄君”に押し付けるのが民意なの?」

沖縄といえば切っても切れないのが基地問題。昨年2月に県民投票が行われ、普天間飛行場の移設をめぐって、県民が辺野古への埋め立てに反対の立場を取ったにも関わらず、日本政府はこの結果を受け入れない姿勢を示しました。沖縄県民の民意を無視しているけれど、外交問題としてとらえると国民の民意を通したことになるのか―。様々な事象が複雑に絡み合っているこの問題は、一言で結論が出せる話ではなく、今でも様々な意見が飛び交っています。


そんな中、実際に沖縄に住む人はどのような感覚なのでしょうか?そしてこれらの問題は、沖縄のお笑いにも影響はあるのでしょうか?


vol.3では、現地で活躍するせやろがいおじさんにしか分からない沖縄の事情について、そして最後に同じ社会問題を扱うお笑いの同志としてのアドバイスをお聞きしました。


■「民意」は誰のもの?難しいからこそ意見交換できる雰囲気にしたい




―沖縄の問題についてお伺いします。米軍基地や安全保障についてはどうお考えですか?


基地問題については、県民投票で民意は出ていますが、県民の中でも基地反対・賛成容認がはっきり分かれているわけでもない。論点もいっぱいあります。防衛論とか安全保障、普天間基地の危険性除去、自然環境など、本当に色んな論点があって、価値基準によって優先順位が変わってくる。「俺は〇〇が一番大事だから、この論点に関しては基地反対だけど△△と□□は容認派。…俺、白黒どっちなんだろう?」みたいな人が多いので、賛成反対を言うよりは、キャッチボールができた方がいいんじゃないかと思います。


―私が教育実習で久米島に来た時、普天間基地に関する話をしたら、1人を除いてクラス全員が辺野古移設に賛成だったのを見てびっくりしました。「普天間の人のことを思うと、そういう結論になる」とみんなが話していて、東京の人との温度差を感じました。


宜野湾とか名護でも県民投票で反対という民意が出ているのが大きいと思います。「辺野古ができたら普天間基地を返還しますよ」とか「そもそも移設関係なく、単独で返還の話をしてほしい」という話も聞きますし。これに関しては色々意見があります。

僕も宜野湾に住んで沖縄国際大学に通っていたので、普天間基地がすぐ近くでした。騒音とかヘリの部品が落ちてくるとか、住んでいる人にしか分からない怖さがあります。防衛のためにこれだけ大きな負担を沖縄に押し付けている状況について、一回みんなで考える必要はあると思います。都道府県をクラスに例えると、「47人の中で『沖縄県くん』の家が一番学校に近くて早く家に帰れるんだから、掃除当番7割やってくれ」というようなもの。沖縄県くんがやってくれたらみんな楽やからね。

ただ「沖縄の民意を大事にしよう」と言っても、日本の民意が違っていたら、それを沖縄は受け入れることができるのか。


―それが難しい。ウーマン村本さんとよくこの話をしますが、村本さんは「民意を無視している」と言います。ただ一方で、外交は国政の方が主に担当するから、沖縄の民意と反対のことをしても、民意が通っていることになっちゃう。


そういう理論が成り立つんですよね。辺野古に基地を作る必要性があるとか、グアムに行くとかいう話もあるけど、俺ら一般人にとってはどこまでホンマなのか分からへんところもある。


―安全保障などについての外交は機密情報もあるし、なかなか入ってこないですよね。


宜野湾上空も時間外なのに飛行機がバンバン飛んでる。「なんでこの時間飛んでるねん?」って聞いても「防衛上の理由で答えられません」って言われたら何も聞けなくなる。

沖縄の中で、どんなに仲がいい人でも話しづらい状況があるからこそ、「僕が言ってもええやん」と思う。それぞれが持っている情報や考え方を交流できるようにしたいと思っています。


■沖縄の笑いは沖縄流。風刺もあるけどそれだけじゃない




―せやろがいおじさんは奈良出身ですが、沖縄の笑いと関西の笑いって違いますか?


沖縄の人は沖縄大好きなので、沖縄ネタのウケはすごいですね。沖縄って、今までの歴史の中で色んな国の文化を受け入れてきているので、米軍基地も受け入れている部分があるんです。お笑いカルチャーの中でも、米軍基地という言葉は笑いと親和性が高かったりするんですよね。


―お笑い米軍基地※さんとかね。沖縄のお笑いには風刺のイメージがありますが、実際どうですか?


※お笑い米軍基地・・・沖縄の演劇集団「FBC」が手がける舞台。笑いを通して米軍基地などの社会問題を投げかけている。


それをやっているのはごく一部ですが、目立っている感じですかね。


―沖縄の芸人さん全員が、風刺ネタをやっているわけではないんですね。


ネタの流れでオスプレイというキーワードが入ると思えば入れる、という感覚でしょうか。


―東京や大阪とでは反応が違いますか?


沖縄ネタは沖縄以外でやってもウケないと思う。「沖縄天ぷらの中に入っているのが魚かイカかは食べてみないと分からないよね」「バスレーンで観光客が取り締まられてるぜ。やーい」とか。


―私が風刺ネタをやりたいと思ってもやりたい場所がない。だから「風刺ネタをやります」と打ち出した単独ライブをやったりします。最近良かったのは、漫才協会に入ったら浅草の寄席などはお客さんに年配の方が多く、風刺を受け入れる雰囲気があったこと。沖縄にもそういうのがあるかと思っていたんですが。


そういうのが見たいお客さんもいます。お笑い米軍基地も、毎回大きいホールがパンパンになっているので、受け皿はあると思います。


―お笑い米軍基地は高校生の時に見に行きましたが、けっこうギャップを感じました。前からDVDで見ていましたが、実際に見ると「なぜここで笑うんだろう?」とタイミングについていけない部分もあって。「沖縄の人が感じる問題はここにあるんだ」と初めて分かることもありました。分かったつもりでいたけど、やっぱり現地の人と感覚がずれている。そういうところに気づく意味でも風刺って面白い。


「ここで笑うんや?」は確かにあるかもしれないですね。


―作る時に悩みませんか?私は「全員がついてこられるネタ」か「多少ついてこられなくても、言いたいことを言うネタ」にするか考えます。


できるだけ多くの人に分かるようにはしたいですが、無理じゃないですか。だから「あなたたちはどう思うか知らんけど、俺はおもしろいと思ってます」というスタンスです。


―きっとお客さんの政治の知識がバラバラだからそうなるんでしょうね。日常の“あるある”だとそういうことにならない。


■やっぱり笑わせたい!安倍さん夫婦はネタの宝庫




―よろしければ私にアドバイスなどください!


たかまつさんの面白さをもっと見たい、と思うことはあります。


―真面目すぎる?


僕らってそうじゃないですか。笑わせないと生きている価値がないから、僕もそこからは逃げずに頑張ろうと思っています。情報や考えを伝えるだけなら、劣化版池上彰さんになってしまう。

ふんどしのコスチュームを選んで良かったなと思うことがあります。30分くらい笑いナシで真面目にしゃべってるけど、お客さんがふと「コイツ、ふんどしやん」って気づく瞬間があって、変な笑いが起きる時があるんですよ。


―ギャップですね。私もふんどし履こうかな。


やめといた方がいい。


―私が初めて「朝まで生テレビ」に出た時に、村本さんに相談したんです。そしたら「田原さんは変な笑いは好きじゃない。本音が好きだから、思っていることをちゃんと言った方がいい」とアドバイスをもらいました。そこで初めてガチっとハマった感じがしたんです。

それまでは、笑いを取ろうと思って言ったことが、誰かを傷つけていることに悩んでいました。私は高学歴キャラなので「あくまでネタですよ」と言っても学歴差別に取られたりするし、自分をブスとか言って自虐したら「容姿のことを言うのはどうなんですか」って言われたり。

だから誤解を生まないために、真面目な時は真面目に、ふざけるときはふざける、とその時の自分を提示してからやっていました。そういう意味で、お笑いから逃げているところはあるかもしれません。


いわゆる“ブスいじり”とか、自分の立場のギャップを使って取る笑いじゃなくて、それを使わずに面白いことが言えたら最強じゃないですか。僕も目指しているんですけど。


―最近は、そもそもの出来事がおかしいのでネタを考えなくてもいい。「桜を見る会」なんて出来事自体がネタになる。


安倍さん辞めんでくれ。僕もいっぱい安倍さんのネタで動画作らせてもらっているので感謝してます。


―安倍さん夫婦はネタの宝庫ですね。夫婦漫才です。


これ言うと「お前は何いってるんだ」とか来るけど、僕、一番の安倍支持者ですもん。


―そう思っているのは、せやろがいおじさんと、安倍さんのものまねしてるビスケッティの佐竹さんくらいだと思う。

今度、単独ライブのゲストで出ていただけます?池上彰さん、志の輔さん、ロンブー淳さん、ふかわりょうさん、そしてせやろがいおじさん。


俺、オチみたいになってるじゃん。




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