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中道は大敗からの再起なるか?  「元コンビ」泉健太氏と山尾志桜里氏が語る「野党第一党」の覚悟とは

  • 執筆者の写真: 笑下村塾
    笑下村塾
  • 1 時間前
  • 読了時間: 10分

衆議院選挙を経て、日本の政治は大きく変わりました。およそ四半世紀にわたった自公連立が解消され、立憲民主党と公明党が合流して新党「中道改革連合」が誕生。しかし、有権者が下した審判は、小選挙区での議席激減という厳しい現実でした。

かつて国会で「議場内交渉係」としてコンビを組んでいた泉健太氏と山尾志桜里氏。旧立憲民主党で代表を務めた泉氏と、元衆議院議員で弁護士の山尾氏に、結党の舞台裏と新党が目指すべき未来について聞きました。

(取材:たかまつなな/笑下村塾)

※当記事は、YouTubeチャンネル『たかまつななのSocial Action!』のために2026年2月16日に収録した内容をもとに作成しています。



「世の中はそう甘くない」新党結成からの大惨敗


ーー本日は、中道をどう立て直していくのかお話を伺いたいと思います。


山尾: 泉さんとは実は同い年で、議員時代は席も隣でしたよね。

泉: 懐かしい。議員運営委員会でコンビだったんです、ずっと。だいたい僕がいい加減な交渉をしてきて、全部それを山尾さんがちゃんと埋めてくれる(笑)。

山尾: そんなことないですよ(笑)。本会議場で何かトラブると、みんなの見える前でゴソゴソ協議する「議場内交渉係」を一緒にやっていました。


ーーそんな気心知れたお二人ですが、今回の選挙、中道改革連合にとっては非常に厳しい結果となりました。今の率直な心境はいかがですか。


泉:びっくりですね。大敗。だけど、これが「小選挙区制」というものだなという結果ですよね。比例区では1000万票を超えていますから、かつての立憲民主党よりも多くなっている。その意味ではまあまあじゃないのという部分もありますが、小選挙区でわずか7人しか当選しなかったという数字を見れば、大惨敗ですよね。


ーー事前のシミュレーションでは、自民党を追い詰めるのではないかという期待もありました。


泉: 最初からそういう気でいたからダメだったんじゃないかと思います。希望の党ができたときも、3日目に「200議席か」と新聞に出て、そこから失速していきました。今回も、世の中はそう甘くないわけで、有権者の皆さんに「中道」という尊い理念を理解していただくには、あまりに期間が短すぎました。戦後の政治史を振り返っても、総選挙の直前に政党が合流して成功したケースはないんじゃないかと思うのに、なぜ先輩たちは同じことを繰り返すのかと、怒り心頭です。


ーー執行部から泉さんに意見を伺うようなことはなかったのですか?


泉: 今回は執行部として決めたので、野田さんと安住さんが中心になりますが、こういうのは執行部に一任するので、誰かに相談する必要はないということです。だけど、方向性は間違っていなかったと思うし、中道の中身もいいものがたくさんあると思っているので、むしろこれからちゃんと説明し続けていくことが大事だと思います。


旧立憲の「現実路線」への転換は実現するのか


山尾: 立憲民主党が目指していた「中道の現実路線への転換」みたいなことは、本当は党として自前でやるべきことだったと思います。泉さんが代表のときになぜやれなかったんですか。


泉: 僕が代表のとき、具体的な政策では現実路線への転換を進めてきましたが、党の綱領など、党の根本的な文章を変えるまでには至りませんでした。それはひとえに僕の政治力の足りなさです。立憲民主党は大きな政党なので、トップダウンではなくボトムアップの政党です。ある意味、党内民主主義が機能していたとも言えて、手続きに膨大な時間がかかる。まず部会で話し合って、綱領を変えるなら党内全員で討議もしなきゃいけなくなる。


山尾: 象徴的なのは、安保法制の廃止問題ですよね。立憲民主党にとって「とげ」のようにずっと刺さっていて、それを抜くのが課題でしたよね。今回それは解決しているんですか。


泉: マラソンで言えばまだ3キロ地点、5キロ地点という感じ。限られたエネルギーを党内の説得に使うのか、外で自民党と論戦をすることに使うのか、世の中で党勢を拡大することに使うのか。そうするとどうしても優先されなかったという面があります。


山尾: その結果、公明党さんという外圧を使って今回のような結果になったのかと思いますが、落選された方も含めて、議員が基本的に変わらないなら、その骨は何だったのかと思うわけなんです。やはり連合の左派系とコアな伝統的な支援者。この2つは今も中道の中にあると思います。なので、「とげ」については乗り越えきれていないんじゃないかと感じます。


泉: 分かります。乗り越えきれてないかどうか、今後皆さんに見せていくしかない。新党という形になったことで、中道改革連合としての基本政策が「答え」として既に出ている。ここからのスタートになると思います。


ーー選挙が終わったあとも、旧立憲の方の中には、選挙のための「野合」だった、という批判をする方も目立ちます。そういう方々を説得することはできそうですか。


泉: それは「日にち薬」だと思っています。今は選挙直後で、それぞれが思いの丈を話す時期ですが、次第に中道の綱領や基本政策に自分が合うかどうか、候補者自身が選ぶことになります。何度も党の方針と違うことを発信し続ける人間がいれば、それは公認しないということになります。それは当然のことだと思います。


山尾: そうですね。中道の綱領にこれから期待していくわけなので、その綱領と合う人を公認していくことは、とても大事なことだと思います。



憲法改正、社会保障…「直視して行動する」マインドチェンジを


ーー今国会では「緊急事態条項」などの憲法改正議論が焦点になります。中道改革連合はどう向き合うべきだと思いますか。


山尾: 私は、今の草案が、いわゆる緊急事態条項で何でも内閣にやらせるのではなく、国会の力をちゃんと維持して歯止めをかけようという内容だと思うので、中道が起草委員会でプレーヤーになって提案を出していくのがベストだと思います。泉さんが個人的にどう考えているか、せっかくだから聞きたい。


泉: 公明党がこの新党の半分を担っている事実は重たい。これまでの立憲民主党だけのスタンスとは当然変わります。それに党内でもどんな改憲であれいったん改憲を許すとその後歯止めがきかなくなると考える方たちもいる。私個人の考えとしては、憲法改正に後ろ向きなままでは、守るべきものも守れなくなる。ちゃんと直視して行動していく必要があると思っています。


ーーそういった中道の中での議論は今後、透明化されていくといいなと思います。中道の会議が見える化されれば与党にもいい緊張感が生まれて、与党も見える化しようという動きになるのが理想ですね。憲法改正とは別に、高市さんが今、社会保障の国民会議の提案をしていますが、中道は参加するのですか?


泉: これまでの野党の考え方で言うと、参加しないという結論で終わりですね。与党を利するから。だけど、それでいいのかっていうのは当然ありますよね。


山尾: あります。それじゃダメじゃないですか。参加する条件をこちらから建設的に提案していくとかいろんなオプションがあるのに。少なくともこんなことを考えているよというポジティブなメッセージがないと。


泉: 大事です。そういうマインドチェンジをしなければならない。特に旧立憲から来たメンバーはあらゆることでこのマインドを変えないといけないですね。


山尾: 食料品の消費税0%は、主張として続けるのでしょうか。選挙のときと状況が変わったら変えてもいいと思うんですよね。私はそもそも恒久的な食料品の消費税0って現実味がないと思っています。民主党政権時代にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の年金の運用すら、恒常的な運用が見込めないものは博打だと言って批判してきました。それを踏まえても、政府系ファンドを使ってずっと食料品を0にするということにすごく無理を感じていました。


泉: 政党としては続けるでしょう。ジャパンファンド(外為特会の運用益などを活用した基金)については、岡本三成さんが中心になってこの政策を担ってくれました。GPIFの実績を見ても、運用の手法を広げて利益を上げていくことは十分に「あり」です。過去、私たちは年金運用のリスクを批判してきましたが、実績が出ているのであれば途中で認める柔軟さも必要です。その財源を消費税に使うかどうかは選択ではあります。



中道改革連合の重要な理念とは


ーー中道改革連合の一番大切な理念は何でしょうか。


泉:平和と民主主義、平和と国民生活ですね。抽象的かもしれませんが、平和といっても観念的にただ平和じゃなく、現実的に自民党以外にも日本の政治を担って大丈夫、日米安保を担って大丈夫という政党が存在するようになりたい。特に、周辺国との軋轢を減らしていく努力をすることだと思います。それは日本の利益にもなることだと訴えたいですね。平和を守るということ、周辺国との関係を改善させていくこと。そして、国民生活をより良くしていく。自民党との違いでいえば、経済界とか大手企業の優位なルールの下で政権が維持されているところもあるので、基金の見直しとか、いわゆる租税特別措置の見直しとか、そういったことに取り組んでいきたいですね。


ーー中道改革連合は、若者政策においてはどんなことに力を入れていきますか。


泉:ひとつは、「奨学金減税」です。貸与型よりも給付型の奨学金が増えてきていますが、今現在、借金になっている奨学金をもらっていた方々がたくさんいるので、その方々が奨学金を返した、その返したものについての一部を控除していくというやり方で奨学金減税を届けたいですね。それと「家賃補助」。持ち家にまでたどり着くというのが、日本の一つの国民の発展モデルとして国土交通省も捉えていました。でも、持ち家にたどり着かない国民は当然たくさんいるわけで、恩恵がないですよね。住宅ローン減税があっても、賃貸は何もなかったので、賃貸の皆さんへの家賃補助をしていきたいです。



ーー新党として、若い世代や女性の支持をどう広げていきますか。


泉: 今、現職の中道改革連合の49人の中で女性国会議員がすごく少なくなってしまったので、役職者には女性が半分以上であるのが理想だし、候補者については、どんどん若い人、女性を「大ウェルカム」でやっていくべきだと思います。


山尾: 私はちょっと考えが違うんです。実力者の中で若い人がいたほうがいいし、女性がいたほうがいいと思いますが、この党はこういう政党だとしっかり発信する力のある人が並んでいることのほうが大事です。今は自民党がそれをやっている感じがあって、高市政権は最初は女性が少ない印象がありましたが、高市さんと片山さんが存在感を発揮して、この人が中核でやっている、日本を担っているという印象があります。男女とか比率とか人数ではないと感じました。年齢についても、高市さんも64歳で別に若くはないじゃないですか。若くないけど、Xでの発信を含めて時代に食らいついて何でも必死でやるじゃないですか。演説も失敗したと思ったら変えてくる、アップデートしてくるじゃないですか。だから、年齢でもないような気がします。年齢でもジェンダーでもなくて、ちゃんと変われる人。


泉: 感度がちゃんとあるかが大事ですね。


ーー最後に、中道改革連合を支持したほうがいい理由は何だと思いますか。


泉: 中道改革連合は平和を守る政党であるということですね。もう一つは、自民党を緩ませないためにも政権交代が必要だと思っていて、そのために懸命に勢力を増やそうとしているのが中道改革連合なので、いい競い合いのできる政治を作りたい。みんなが自民党に投票するのではなく、競い合いの政治をつくるために信頼のおける政党になりたいと思います。


 

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