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執筆者の写真笑下村塾

選挙権を15歳に引き下げ?「考える余地は十分にありますね。」



群馬県の高校生が、山本一太群馬県知事の相談役となって政策提言している高校生リバースメンター。そのメンバーの荻野百世さん、齋藤花ノ舞さん、庭山藍沙さん、茂木愛莉さん、吉田哲理さんの五人が、今度は河野太郎議員に直球提言。


 生理の無理解、教員の働き方改革、地方創生の見直し、IT技術の規制緩和などの疑問をぶつけ、意外な答えを引き出した。


 YouTubeたかまつななのSocialAction!にも動画配信されています。



 

       高校生は教職をブラックと考えている


――「高校生と河野太郎」のテーマで座談会を始めます。笑下村塾は若い人の政治参加を促す活動を全国の学校でやっているのですが、群馬県では一歩進み、高校生が知事に政策提言し相談役も務めるリバースメンター制度を取り入れています。今日はそのメンバーの中から5人に出席していただきました。まずは自己紹介をお願いします。


吉田:太田市立太田高校の3年生です。普段はクビアカツヤカミキリという外来種の駆除活動をしているのですが、今日はAIやITについてお聞きしたいと思います。


荻野:太田市にあるぐんま国際アカデミー高等部1年です。私のテーマは、生理の貧困や学校内での生理の問題を解決すること。また県内で難民のボランティアもしています。


齋藤:同じく、ぐんま国際アカデミー高等部1年です。私のテーマも生理の貧困問題ですが、部活の男性顧問が生理痛を理解していないことに衝撃を受け、認識を変えたいと活動を始めました。夏休みにタンザニアに医療ボランティアに行き、現地でも生理事情を調査してきました。


庭山:前橋女子高校1年です。群馬県から若者流出防止の活動をしています。若者の政治参加や地方創生にすごく興味があるので、大臣とお話させていただくのがとても楽しみ。


茂木:太田市立太田高校2年です。私はより良い教育現場を作るのがテーマで、教員の多忙問題だけでなく、魅力も発信していきたい。教員を目指しています。



――ではそれぞれ、河野さんに伝えたいことをお話していただきましょうか。


茂木:より良い教育現場を作ることをテーマにした理由は二つ。一つは、先生に相談したいことや勉強で分からないことがあった時に、先生があまりにも忙しそうだったので声をかけられない経験がありました。もう一つは私自身が教員を目指しているのですが、友達に「先生は大変だよ」とか「忙しいよ」と、ネガティブな一言で片づけられてしまうことに引っ掛かって。


 ただ多忙化は深刻で、私がアンケートを取ったところ、高校生の9割が「教員の仕事はブラック」と考えていました。教育現場の課題は、関係している人じゃないとその深刻さが理解できないし、政策的にも後回しされているような気がして、教育の現場にもっと目を向けてもらいたい思いがあります。


 教職の魅力をもっと知ってもらいたいので、高校生に教員の仕事を体験してもらうとか、実は教員も意外と休めていることを伝えるため、教員の一日を調査し、教員の新しい面を知ってもらう活動をしています。


河野:先生は何でそんなに忙しいの?


茂木:無駄な作業が多いと思います。テストの丸付けは先生がやらなくてもいいし、先日行われたテストでは、全教科AIで採点する先生もいて。AIで採点すると順位とか偏差値が自動的に表示されるんですよ。なんでもっと取り入れないのかなって。


 

          ChatGPTでテストの採点はありか


――他の学校でもやっている、AI採点?


齋藤:うちの学校は先生によります。使っている先生はChatGPTに私たちが描いた文章を、判定基準を設け採点させています。生徒の中には、それでいい人と止めて欲しい人がいて、どっちがいいのか難しい。


河野:先生は親御さんのクレームの対処で忙しいという話もあるけどどうですか?


茂木:うちの学校ではないけど、モンスターペアレンツ対策の専用窓口を作る動きがあることは知っています。


――ちなみに河野さんは教職員給与特別措置法(給特法)についてどう思われますか。

河野:定額働かせ放題は問題だと思いますが、残業代を多くするより、そもそもの給料を高くした方がいいと思いますね。


 一時40人学級を35人にしようとしたけど、教育学者に聞くと、クラスを小さくしたからといって教育水準が上がるというエビデンスはありませんと。むしろ、多少人数が増えても、教師のレベルが高い方が教育水準は上がる。クラスを小さくすると先生をたくさん採用しなければならず、玉石混交になってしまう。そう教育学者たちは小クラス制に反対しました。


本当にいい先生を採用するためには、教員の給料を上げるのが一丁目一番地。茂木さんが先生になるころに、もうちょっと給与水準が上がっているようにしたいですね。。

 

       地元企業で働くイメージが湧かない


ーー庭山さんはいかがですか。


庭山:私は群馬県から若者の流出を食い止めたいというテーマで活動をしていますが、進学や就職で東京や県外に出て行って、Uターンされない課題があります。高校生にアンケートを取ったところ、将来は群馬に住みたいと答えた高校生が半分以上いるのに、地元企業や仕事先についてほとんど知らない。だから地元で働くイメージが湧かないのです。


 地方の魅力を観光面で外国人や県外の人に発信する地方創生だけじゃなく、地元で働く人を支援するような地方創生を全国で取り組んでいって欲しいです。


――庭山さんは、地元企業を知る機会がないので、接触機会さえあれば地元に留まったり、戻ってくる人が増えるのではないかという問題意識を持たれています。


河野:小中学校の遠足や課外活動で地元企業、例えばスバルに行ったりしなかったの?


庭山:小5の時スバルの工場を見学しました。


河野:メーカーだけでなく、IT会社とか金融機関とかに行ってみるのもいいかも。


 僕は地方に特色を持ったユニークな大学・あるいは専門学校などを作れないかと考えています。この勉強をするなら群馬とかね。そしてそのまま住人になるかもしれない。僕は以前に、東大を地方に移せないかと言って、東京出身の議員に袋叩きに会ったことがあるけど、地方の大学に特色を持たせると、人口流出の防止に少しは役立つかもしれない。



      5人に一人は生理ナプキンが買えない


――斎藤さんと荻野さんは、生理の貧困について問題意識を持っていますよね。


齋藤:では私は経済面から。私たちは生理用品を当たり前に買えると思っていますが、ある調査によると、5人に一人が生理用品を買うか食料を買うかの瀬戸際に追い込まれています。生理用品の購入費を計算してみたところ、ナプキン1枚40円として、それを1日5枚、期間は5日間、それを40年間続けたとすると一生で必要な金額は48万円。女性はものすごく負担が大きいことが分かりました。


 それで以前、生理用品を無償化するクーポンの配布を山本知事に提案したいと思い計算したところ、群馬県だけで予想金額が3億円に達してしまって・・・。これでは実現の可能性が薄いなと考え、別の方法で生理の貧困をなくせないか考えているところです。


荻野:私が生理について問題意識を持ったのは、友人たちは生理が重くて辛いとか、ナプキンを買う時人目が気になるとか、生理で悩んでいる人が意外に多いことに気づかされたんです。それに試験や受験に生理がぶつかってしまうと気持ちが沈んでしまう人もいる。


 また我慢してナプキンを長時間付けてしまうと感染症になったり、病気になってしまったりで、しまいには日本の最大の課題である少子化にもつながってしまいかねません。


 それに以前、部活でランニングをしていた時、先輩が生理だったので男性顧問に「休んでいいですか」と聞いたところ「なんで生理というだけで走らないの!」って。その一言で、みんなが凍り付いてしまって。


河野:生理の話は男の子とするの?


荻野:しないです。そういう機会はあった方がいいと齋藤さんとも話したんですけど、専門家の方と話した時に、それによって男子にからかわれ、いじめを受けた例もあったらしく、難しいなと思っています。


河野:僕が子供の頃、オープンな女の子がいて色々話してくれた。そうなの!ってびっくりしたけど。男性は全員、生理について知った方がいいよね。男の子は多分、保健体育でさらっと学ぶんだろうけど、女子の生理の現実を具体的には知らない。だから部活の顧問の先生のような人になっちゃう。


 僕が学生の頃、駅や公衆トイレにトイレットペーパーが備わっていなかった。だから通学途中でトイレに行きたくなると困るから、ポケットティッシュは常に持参。


 でも今は、どこのトイレにもトイレットペーパーは備わっている。それと同じように女子トイレには生理用品を常備してもいいのかなと思う。ただ、さすがに全員に配布するのは山本知事も結構厳しい判断になるので、必要だけど購入しにくい人にだけクーポンを出すという政策はあるんじゃないかな。どれくらいの人がどんな風に困っているのか、もう少し具体的な数字が見えると提案しやすくなるはず。


 あるいは女性議員がもっと増え、議会で生理がどれだけ大変なことか発言してくれることも大事。男性議員が多いと、何の話をしているのかさえも分からないから。

 

      議員の半数を女性に。まずは3割を目指す


――女性議員が増えることについて意見がある人はいますか。


荻野:人口の半分は女性なので、国会議員の半分を女性にする案はどうですか?


河野:いずれ近いことをやらなきゃいけないと思っています。女性議員の割合が一定を超えると、教育あるいは社会保障に予算を増やすようになると言う学者さんがいて、女性議員を増やすということはそういう意味でも大事なんだろうと思います。


 ただ、いきなり半分というのは現実味が薄いのでまず3割。今、1741の市町村の中で、女性議員ゼロが200ちょっとある。まずはこの市町村で女性議員を増やすキャンペーンをやり、それ以外のところは3割まで増やす。僕の地元の神奈川県大磯町では、女性議員が半分以上占めたこともあったので、決して夢物語ではないんですよ。



        なぜ樹木を伐採し太陽光パネルを設置?


――吉田さんはいかがですか。


吉田 2点あります。一つが環境とエネルギー問題。もう一つがロボット、デジタル、AIに関してです。


 最近、家の近くの防風林が、太陽光発電パネル設置のために伐採されてしまったんですよ。僕は樹木の伐採には人一倍敏感なところがあり、森を切って太陽光パネルを作るのは本当に地球環境にいいのか疑問なんです。しかもその太陽光パネルを設置したのは日本企業ではなく中国企業だった。


 そもそも、政府が日本企業に投資すれば経済が回るのに、なぜ中国企業に任せているのか。その疑問を河野さんに伺いたくて。


河野:防風林を切って太陽光パネルって、本当に環境にいいのかと僕も疑問です。荒廃農地などに設置するのはありだと思うけど、それよりみんなの家の屋根に置こうよ、と。

 

 東京都は新築する住宅の屋根には太陽パネルの設置を義務化しているし、ペロブスカイトという家屋の壁面に貼れる次世代太陽光電池も身近になってきた。最近は道路に太陽光パネルを貼れる技術も出てきているので、森林を伐採する必要はないんですよ。


 太陽光パネルはもともと日本が世界一だったけど、あまり後押ししないうちに中国がガンガン作って廉価にしちゃったんだよね。中国は太陽光パネルだけじゃなく鉄鋼なども作り過ぎて海外に安い値段で攻勢をかけているため、今国際社会の中で規制を掛ける動きが出ています。


 例えばEUは、中国の鉄鋼に炭素税をかけています。EUは二酸化炭素を排出しないように炭素税をかけて製鉄している一方、中国はガンガン二酸化炭素を排出して製造し、安く売るのは不公平だよね、という考え。日本もそういうことを考える時期になったと思う。

 

        日本のIT化が進まない理由


吉田:もう一つ。僕は大学でロボットやITを研究したいと考えているのですが、スマート農業も広がらないし、IT技術を追求するには様々な障壁があると思っています。


河野:IT技術の発展に規制改革が追いついていないのが現状。サンフランシスコは自動運転のタクシーが走っているし、去年訪問したエストニアでフライドチキンの宅配を頼んだら、自動運転の車が時速40㎞で届けてくれた。日本でも自動運転の実証実験をやっているけど、運転席には必ず人が乗っている。人が乗れば人件費もかかるのに。


 エストニアは自動運転の技術を輸出しているんだけど、日本だけ地上15㎝のものも見分けられるセンサーを付ける義務があるとかで、それだけコストが高くなるらしい。その規制は何のためと聞いたら、酔っ払いが道路で寝ていたら危ないという理由らしいです。


日本はゼロリスクじゃないとダメという考え方だけど、高齢者が運転するより実は自動運転の方が安全性は高いんです。こういう社会的判断をそろそろ煮詰めていかなければならないと思いますね。



 

      選挙権を18歳から15歳に引き下げを


――河野さんは自民党総裁選の中で、被選挙権の年齢引き下げとインターネット投票にも触れられていますが、若い皆さんはどう思われていますか。


河野:僕は被選挙権を25歳から18歳に下げてもいいと思っていますが、どうですか。


茂木:授業では18歳から選挙に行かないと、高齢者向けの政策ばかりになると教えられますが、選挙権がないうちに学んでもあまり実感がないし、立候補者が年配者ばかりだとイメージが湧かない。やっぱり年代が近い人の方がいい。


18歳というのは凄くターニングポイントだと私は思っていて、18歳で選挙に行かないとこの先もいかないと思いますね。


庭山:被選挙権を18歳に下げるというのは大賛成なんですけど、私は選挙権を15歳に引き下げて欲しいと思っています。


 私たちは中3の時に公民の授業で政治や選挙制度をしっかり学びます。その時はみんなで政治について議論しますし、興味を持ったそのタイミングで選挙に行けると、その後の投票率にも関わってきますし、学びも深まると思うので、15歳から投票できるようにして欲しいなと思います。


――私たちは高校で主権者教育をやっていますが、18歳になっている子は少ないんですよ。確かに高校入学と同時に選挙権を持った方が当事者意識は高まるかもしれない。


河野:僕は18歳で投票も立候補も出来ると考えていたんですけど、高校生が投票できるようにするというのは考える余地があるかもしれませんね。


――皆さん、今日はわざわざ群馬からお越しいただきありがとうございました。


河野:皆さんと話して楽しかったな。この逆風の中で教員になろうとしている茂木さんは凄く素晴らしいし、庭山さんは未来の群馬県知事かもしれない。タンザニアまで医療ボランティアに行った齋藤さんは活動的で、吉田さんは将来、日本のITを仕切っているかも。荻野さんは群馬県の予算3億円をひねり出せないなら別の方法を考えるだろうし、みんな結構頼もしいなと感心しました。


 YouTubeたかまつななのSocialAction!にも動画配信されています。


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