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予算は約3億円、職員は9人半。スウェーデンのストックホルム大学の学生組合を訪ねた

執筆者の写真: 笑下村塾
笑下村塾
18 時間前
読了時間: 8分

ストックホルムの地下鉄駅に、不動産広告のような一枚が貼られていました。狭いキッチン、ベッドのすぐ横にオーブンがある部屋。並んだ写真の真ん中に、こう書いてあります。「It's A Luxury(それは贅沢です)/安心できること。食費と家賃の両方を払えること。家があること」




出したのは不動産会社ではありません。ストックホルム大学の学生たちです。


学業を休んで、組合の副会長になる

9月10日、ストックホルム大学のキャンパスを訪ねました。会ったのは、ストックホルム大学学生組合(SUS)の二人です。



ヴァレンティン・ロディコフさんは、この大学で5年目の学生です。今年の5月か6月に副会長に選ばれ、いまは学業を休んで、フルタイムで組合の仕事をしています。いまは学業を休んで、報酬を受け取りながらフルタイムで組合の仕事をしています。学生でありながら、職業として学生を代表している。「大きな組織を代表していますが、私はまだ学生です。学生が学生自身を代表している。そこがいちばん大事な点なんです」もう一人のアルマ・カールソンさんは、SUSに雇われている職員です。




肩書きは「政治秘書」。選挙で選ばれた学生の役員を支える常勤スタッフで、政策を調べ、政治家や役所とのやりとりをつなぎ、毎年入れ替わる学生組織の「記憶」を引き継ぎます。日本でいえば、議員事務所の政策担当スタッフに近い仕事です。学生の側と、雇われている側。この二人が交互に説明してくれました。学生が代表を務め、それを職業のスタッフが支える。この二層構造が、SUSの骨格でした。常勤スタッフは9人半います。


学生の3人に1人が入っている

規模も聞きました。会員は約9,000人。ストックホルム大学の学生は3万〜3万5千人ですから、およそ3人に1人が会費を払って入っています。学科ごとに置かれた「評議会」が78。そこで選ばれた学生代表が約830人で、会員の11人に1人が、どこかの代表を務めている計算です。学生団体は50。設立は1883年、スウェーデン最大の学生組合です。年会費は240クローナ(約3,500円)。ただしこれは予算の1割ほどにすぎません。残りの大半は、大学からの拠出金と国の助成金です。ストックホルム大学は国立ですから、組合の運営費はほとんど公費でまかなわれていることになります。公開されている予算書によると、2022/23年度の収入は1,830万クローナ。日本円で3億円近くになります。


大学には「学生の声を聞いて運営する」義務がある

なぜ大学がお金を出すのか。聞くと、職員のアルマさんがこう整理してくれました。「いくら出すかまでは決まっていません。でも、支えなければならないということは決まっています」スウェーデンの法律は、大学に対して「学生の意見を反映させながら運営すること」を義務づけています。だから大学には、学生組合を支える責任がある。金額は各大学の裁量ですが、ほぼすべての大学が何らかの形で出しているそうです。学生の参加は、大学の好意ではなく、大学側の義務なのです。

「大学は法律上、私たちを拒否できません。私たちには、大学のこうした場にいる権利があるんです」(副会長のヴァレンティンさん)



会長と副会長は、大学理事会のメンバーでもあります。学長と同じテーブルに着き、学部の方針にも意見を言う。席が最初から用意されている。副会長のヴァレンティンさんは、身近な例を挙げてくれました。「政治学を学んでいて、教科書の著者が男性ばかりだと感じたとします。もっと多様な視点が必要だと、組合を通じて大学に伝えられるんです。教育の中身を一部の人だけが決めるのではなく、私たちも変えられる。大学もこれを歓迎していて、いつも協力関係です。学生は外部の人間ではなく、プログラムを変える側の一員なんです」そのあと、職員のアルマさんがこう続けました。「とはいえ、授業の中身そのものが多数決で動いているわけではありません。それに、たぶん私たちもそこまでは望んでいないと思うんです。学期の初めに全学生が投票で教科書を決める、というようなことを目指しているわけではないので。求めているのは、不当な扱いを受けたと感じた人が必ず助けを求められること。教員が学生に嫌がらせをしたり、評価が不公平だったりしたときに、一緒に行って指摘できることです」教科書を多数決で決めたいわけではない。おかしいと思ったときに相談できて、一人で抗議しなくて済む。求めているのは、そこでした。


組合の中に、議会と「政党」がある

SUSには、国会にあたる代議員会があります。予算を決め、理事会を選び、その年の重点課題を決める。年に4回、多いときは5回開かれます。その議席の55%は、年に一度、4月の選挙で決まります。


投票するのは会員全員。残る45%は、各評議会や学生団体からの代表です。面白いのは、候補者が「リスト」という単位で立候補すること。実質は政党で、左派系も右派系もあります。


どの政党にも属さないリストもあり、前回はキャンパスの安全を訴えるリストが出ていました。ただ、一人でもリストを作れるので、あえて政党とは呼ばないのだそうです。「前回は、一人だけのリストが2つ出ました。そのうち一つは、障害のある学生への支援を増やしてほしいという訴えでした」(職員のアルマさん)100年続く学生政党から、たった一人の訴えまで、同じ選挙に並ぶ。


はじめての人が置いていかれないための工夫もありました。正式な会議では普段使わない言い回しが出てくるので、用語集を必ず事前に送る。新しく選ばれた代議員のために、模擬の代議員会も開く。少人数で全員が順番に名前を言う時間をつくり、そのあと発言しやすい空気にする。「歓迎されていると感じられること。私たちはそれを、決して当たり前とは思っていません」(職員のアルマさん)


自分の大学の外へ

そしてSUSは、自分の大学のことだけをやっているのではありませんでした。


最大の課題は住宅です。スウェーデンには条件のよい学生ローンがありますが、支給額は全国一律。月13,000クローナ(約1,200ユーロ)では、家賃の高いストックホルムでは足りません。


「月末には、ほとんど何も残らないんです」(副会長のヴァレンティンさん)だから地下鉄広告を買いました。悲惨さを訴えるのではなく、不動産業者の美辞麗句をあえて誇張して、実態を突きつける。


学生の体験談をキャンパスとSNSで集め、専用サイトに並べました。


アンケートは留学生も参加できるよう全編英語で実施したそうです。市の住宅担当の政治家と会い、新聞に寄稿し、取材の前週には、対外貿易を担当する閣僚を招いて討論会を開いていました。卒業後の課題にも動いています。


スウェーデンでは大卒者の4人に1人が仕事を見つけられずにいるといい、就職できなかった人への失業手当の復活を求めていました。大学の中の自治会というより、若者政策を動かす圧力団体です。


会ってくれないなら、そう書く

政治家とどう向き合っているのか聞くと、副会長のヴァレンティンさんはこう答えました。「スウェーデンでは、政治家が影響力のある大きな組織と近い関係を持つ文化があります。私たちはストックホルムで最大ですから、向こうにも話したい理由がある。もし無視されたら、私たちはそれを言うし、SNSに投稿するし、あちこちで話します」会ってくれなかった、という事実そのものを公表する。それが交渉のカードになっている。彼の言い方を借りれば、政治家と学生組合は「お互いに引き合っている」関係でした。


学生は毎年、いなくなる

日本で活動していて痛感するのが、引き継ぎの難しさです。同じことを聞くと、「とても重要な質問です」と答えてくださりました。前任者と3か月並走して、実際の仕事を見て回る。働き方も手続きもすべて文書にして、ウェブで公開する。理事の任期をずらして、一斉に全員が卒業しないようにする。そして、職員を雇う。「学生は毎年入れ替わりますから、組織の記憶は長く勤める職員が引き継ぐんです」(職員のアルマさん)熱意はもちろんある。でも、熱意だけに頼らずに済む仕組みが、しっかりと敷かれていました。


「政治には、もっと、こどもが必要だ」

最後に、なぜあなたはここにいるのかと聞きました。副会長のヴァレンティンさんは、大学より前の話をしてくれました。「スウェーデンには、こどもをいろいろな活動に参加させる文化があります。


放課後のサッカークラブ、ボードゲームのクラブ、バスケットボール。私はチームでソフトボールをやっていました。こども向けの、とても大きな助成のプロジェクトがあるんです」そうしたクラブにも、会員制度があります。職員のアルマさんが補足しました。


「組合と同じ構造なんです。会員がいて、その組織を率いる人を投票で決める権利がある」動議を出す、賛成する、採決する。みんなで決めるときの言葉づかいを、遊びの延長で覚えていく。副会長のヴァレンティンさんが続けます。「クラブはキャンパスでもよく目につきます。楽しそうにしていたり、パーティーを開いたり、サッカーをしていたりする姿を見て、自分も入りたいと思う。だから目に見えることも大事です。


でもそれを成り立たせているのは、政府と私たちのプロジェクトです。結局のところ、お金の話なんですよ」こどもが安く、あるいは無料でクラブに入れるのは、国がそこに予算をつけているから。「みんなで決める練習ができる場所」は、放っておいて生まれるのではなく、誰かがお金を出しているから存在している。


そして職員のアルマさんが、自分の話を重ねました。「会議で物事を決めるときの言葉や言い回しを、私は15歳くらいのときに覚えました。おかげで、実際の政治に踏み出すのがずっと楽だったんです。いま彼らがやっているようなことに」「民主的な言葉と、民主的な組織を渡すこと。


スキルとしての民主主義を、会員だけでなく、いろいろな年齢の若い人に渡していくこと。それが私たちの仕事です」学生である副会長も、雇われている職員も、入口は同じでした。ヴァレンティンさんはソフトボールのチーム、アルマさんは15歳のときの仲間のグループ。こどものときに入ったクラブから、いまの場所まで地続きになっています。その言葉を受けて、副会長のヴァレンティンさんが言いました。


「だから、政治にはもっと、こどもが必要なんです」日本のクラブ活動や習い事は、民主的でしょうか。こどもたちだけで話し合って、予算やルールを決めて、運営しているでしょうか。二人の話を聞きながら、これは習慣として染み付いていると思いました。


※この記事は、一部AIを用いて作成しています。


 
 
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