中学生が、宿題で政党に取材に行く――スウェーデンの選挙を、討論会と選挙小屋で見た

■1900円払って、450人が集まる討論会
選挙10日前、ストックホルムの文化会館で県議会選の討論会が開かれた。
チケットは125クローナ、日本円でおよそ1900円。450席のホールが埋まっていた。

論点は、医療の待機時間、SLカード(定期券)の値段、未来の公共交通、そして財源。スウェーデンでは県が医療と公共交通を所管しているから、生活に直結する話が並ぶ。
構成が凝っていた。テーマごとに登壇者を入れ替え、4人で議論したり、2人の一騎打ちにしたりする。賛否を赤と緑のカードで示させる場面もある。地方紙が撮った街頭インタビューの映像を流してから、政治家に答えさせる。市民の声をしっかり聞く構成だ。
最後は8党の代表が全員並び、会場からの質問を受けた。手が次々と挙がる。質問する市民は端的で、政治家もよどみなく答える。NGも、事前に質問を集めることもない。その場で、アドリブで対話が成立していた。
服装は自由で華やか。議論は深いのに、演出はかっこいい。受付ではお酒も売っていた。

2時間、飽きることがなかった。日本にもこういう場があったら行きたいと思った。
■駅前に、政党の小屋が並ぶ「選挙小屋」
別の日、ストックホルム中央駅の前に行くと、選挙小屋(valstuga)が並んでいた。政党ごとの小屋が建ち、ボランティアや候補者が立って、道行く人と話している。

驚いたのは、若者がたくさんいたことだ。
中学生がプリントを手に、政党の人にインタビューして回っている。宿題だという。授業として、クラスで来ている子たちもいた。学校が生徒を、大人の選挙運動の現場に送り出している。

政党の側も、それを前提に立っていた。社民党の小屋には高校生とユース政党のメンバー。自由党でボランティアをしていたのは15歳だった。「家族もリベラルで、教育に関心があるから」。訪れた人とは、教育政策やジェンダー政策について話すという。

緑の党は地方議会の候補者本人が立っていた。「人の質問に答えて、対話するために来ている」。気候変動の話が多く、将来が不安だという人も多い。若者の失業率が高く、仕事に就けるのかが課題になっている。それでも希望と解決策はある、と。

■投票先を決めにきた
訪れていた若者にも聞いてみた。
9年生と8年生のグループ。日本でいう中学3年と中学2年にあたる。模擬選挙があるから、投票先を決めに来たという。

関心があるのは気候変動と学校とヘルスケア。犯罪対策を挙げる子もいた。海外の難民や移民をどれだけ支援するか、という子も。
「どうやって投票先を決めるの?」
左寄りだという2人は「実際にブースの人と話してみて決める」と答えた。もうひとりは、すでに決めていた。
スウェーデンの学校では、政府が大きく旗をふり、学校選挙(模擬投票)が行われる。その模擬投票の投票先を決めるために来た子たちも多かった。
■政治のほうから、街に出てくる
2つの場所を見て、共通していることに気づいた。
政治のほうから、市民のいる場所に出てきている。
討論会では、政治家が並んで、その場で市民の質問に答えていた。事前に質問を集めることも、答えられない質問を弾くこともない。選挙小屋は、駅前という一番人通りの多い場所に建っている。党員や候補者本人が立って、通りかかった人と話す。

そして、そこに中学生が入っていける。宿題として、授業として、学校が送り出す。政党の側も、こどもを相手にしないということがない。

投票に行く前に、話を聞く場所がある。話を聞いてから、決められる。
大人がそうしている街で、こどもも同じことをしていた。
※この記事は取材をもとに、AIを使用しています。


