若者の政治参加を支える仕組みって?ー台湾のリバースメンターに聞いてみた
- 笑下村塾

- 1 日前
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私たち笑下村塾は、群馬県を皮切りに、複数の自治体で、若者が首長の相談役(メンター)となって、首長にアドバイスや政策提言を行う「リバースメンター」を行っています。2023年からこの仕組みを導入した群馬県では、高校生の提言をもとに「不登校」という呼び方を変えました。
この制度をさらに広げ、若者が政治に関わるための仕組みとして根付かせるためには、なにが必要なのでしょうか。

世界では、同様の制度が、法的裏付けを持って実行されている地域も少なくありません。
2025年11月28日、衆議院議員会館にて、台湾でリバースメンターを務める若者たちが、群馬のリバースメンターたちと意見交換を行いました。
台湾には、若者が政府のトップや官僚に対して意見や提案を行う制度があります。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、年上の人が若者を教えるのではなく、若者が政策づくりの場で“助言する側”になるのが特徴です。
この制度を支えているのが、2023年に台湾の国会(立法院)で可決された「青年基本法」です。この法律では、18〜35歳の若者には、社会や政治のルールづくりに参加する権利があるとはっきり書かれました。また、国の政府だけでなく、地方自治体にも、若者と話し合う場をつくる努力をすることが求められています。

国のレベルでは、台湾の内閣にあたる行政院が「青年事務発展会報」という会議を設けています。この会議の大きな特徴は、参加者の半分以上が若者であることです。会議は、法律により年に少なくとも2回は開くことが決められています。この仕組みは、2014年に始まった「青年顧問団」(若者の提言を政策に反映するための機関)がもとになっており、2016年からは「行政院青年諮詢委員会」として今も続いています。
地方自治体でも、同じような制度が広がっています。2024年時点で、台湾の21の県や市が「青年諮詢委員会」を設置しています。たとえば台北市では、2025年から35人の若者が委員となり、環境、仕事、国際交流など6つのテーマに分かれて市に提案を行う予定です。また台南市では、2019年に全国で初めて、若者政策を専門に担当する部署をつくり、大学と協力しながら行政と若者が一緒に政策を考えています。
これらの制度は、「若者の意見を聞くだけ」で終わるものではありません。行政院は、こうした取り組みを**「熟議民主主義」**、つまり話し合いを通じてよりよい答えを探す民主主義の実践だと考えています。世代のちがう人たちが協力することで、政策の質を高めようとしているのです。
もちろん、若者の提案がすべて実現するわけではなく、続けていく難しさや課題もあります。それでも、法律というはっきりした根拠があることは、この制度を長く続けていくうえで大きな意味を持っています。台湾の取り組みは、「若者が政治に関わるとはどういうことか」を考えるヒントを与えてくれる事例だと言えるでしょう。
【引用元】
中央社『立法院三讀通過「青年基本法」明定18歲為青年、設百億發展基金』
行政院『青年諮詢委員会発足に関する公式発表』
Youth Basic Law, 第9条(青年事務發展會報に関する規定)
台北市政府『青年事務諮詢委員会設置要点』
台南市青年事務委員会関連施策
行政院『熟議民主主義に関する政府の見解』
台湾行政院青年諮詢委員会の概要(教育部青年発展署公式サイト)yda.gov.twyda.gov.tw
台湾中央社報道「行政院青年諮詢委員会、第5期初会合」「青年基本法立法化」cna.com.twcna.com.tw
台北市政府ニュースリリース「第1期台北市青年事務諮詢委員会の発足」gov.taipeigov.taipei
高雄市政府青年局「青年事務委員会」ページ(設置要点の沿革等)youth.kcg.gov.tw
高雄市「青年事務諮詢委員会設置要点」抜粋ouk.edu.twouk.edu.tw
台中市ニュース「第4期青諮会委員の委嘱式」news.st-media.com.tw
新北市青年局ページ「青年事務委員会(青委会)紹介」youth.ntpc.gov.tw
Audrey Tang氏の講演書き起こし(NoMaps 2020)no-maps.jp
台湾・許雲翔ほか「青年公共参与の制度分析」(2021年)ws.exam.gov.tw (台湾の青年参与制度に関する学術研究)


