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「フォロワーが自殺」。はるかぜちゃんが、それでもいじめと闘う理由


今回の対談のお相手は、はるかぜちゃんこと、春名風花さん。 女優や声優の表舞台のかたわら、いじめに関する情報発信を続ける彼女。 そのきっかけは、中学生のときにフォロワーの1人が“自殺配信をした”ことだそうです。


“いじめを受けている側には学校に行く権利があり、「逃げてもいい」と言うだけの人は偽善だ”といった内容の発言が話題にもなりました。

「いじめはきっとなくならない」でも「できることはある」――今は19歳になった彼女にいじめの当事者となっている子たちとその周囲にいる大人たちにメッセージをもらいました。



https://www.youtube.com/watch?v=t5Zp_wmkSjQ&list=PLGIs2lskpIl1kYBQqTgOGBMe7Hl900JWD&index=4



「いじめ」と検索して、僕のtwitterに来た子たちへできること




―――今回、やっと対談が実現してうれしい。初めて会ったのは確か7年前? 今日はいじめについていろいろ語っていただきたいなと思ってます。そもそも、いじめに関して発信するようになったのってどうしてなの?


中学生のころ、僕のtwitterのフォロワーだった子が自殺配信をしたということを、その子が亡くなってから知ったんです。その子はいじめというよりも、家庭の問題のほうが大きかったみたいなんですが、当時既にいじめに悩んでいる子たちに発信していたにも関わらず、実際の当事者には届けられてなかった。それが悔しくて・・・・・・。


――それは、やっぱり表に出る人だから仕方がない部分もあるけれど、中学生のときにその経験は相当辛いね。


はい。けっこう病みました。しかも、最近も同じようにフォロワーの子が自殺配信してしまって。しかも彼女は、同世代で、実家の近くに住んでいる子だと存在を知っていたので、けっこうショックでした。

2人とも「伝説になりたい」って言って自殺配信をしたんですよ。10代の頃って、学校と家しか居場所がないから、学校も家もだめだってなったら、世界の全てが絶望しかなくて、死後の世界のほうが幸せなんじゃないか、私が死ぬことで何か変わるんじゃないかと思っちゃう。でも、それはすごくもったいない。

 大人になれば、仕事や住む場所の選択肢が増えるし、助けてくれる窓口を探すこともできる。なんとかその方たちと繋がれば、きっと生きていく道はあったと思うんですよ。でも、自分で生きる方法を選択できない年齢で、狭い世界で絶望して、死後の世界に憧れるっていうのは、僕は嫌なんです。


――実際に、そういう悩んできた子から相談が来たらどうするの? たくさん来るわけでしょう?


直接的な相談って、実は少ないんです。人に迷惑をかけたくないって思いながら苦しんでいる子が多いからかもしれません。レベルはそれぞれ違いますが、家で安心して眠れない環境で絶望している子は多いです。そうなると、うつ病などの病気も発症しがちだし、精神的に不安定になると、社会との関わりが閉じてしまう。正直、現実世界の生きている場所に絶望しているんだから、ネットでいくら言葉をかけても難しいです。でも、コツコツと言葉をかけ、相手が“環境を変えよう”って思えるぐらいまで生きていてくれれば、手を差し伸べてくれる人はいるんじゃないかなって僕は思ってます。


――確かにネット上で相談する相手を1人でも見つけて、具体的な相談機関とかも知れるといいよね


ただ、ネット上って、怪しいところもいっぱいあるのも事実です。自殺願望がある子を集めて殺してしまう事件もあったし、性的搾取の被害者になることもあります。そのためにはやっぱり「いじめ」とか「自殺」とかで検索したときに引っかかってくる、僕みたいな人間たちが、ちゃんとした機関を紹介してあげるということが大事なのかなと思っています。

 僕は、こうした問題に関心の高い議員さんとtwitter上でつながっていて、その方につなげる場合もあります。また、いろんな人の力を借りて虐待から実際に自立した子のnoteに書いてることがすごく良くて。「5時間ふやかした橋本環奈」というアカウント名なんですけど(笑)。そういう方の声も参考にしてもらうのもいいなと思っています。


「逃げていいは、偽善だ」発言の本当の意味





――最近のいじめの報道についてはどういうふうに思っている? こういう視点が足りないとかありますか?


「いじめられてたけど乗り越えました」っていう話がとても多いなと思っていて。でも、将来いいことが起こらない場合だってあります。

例えば、フリースクールに通っても学歴にはなかなかならないし、小学生の頃勉強大好きだった子が中学でいじめられて、勉強できなくなって、進路が絶たれる。それすごい理不尽じゃないですか。


――確かに、不登校になった先が実は大変だよね。

去年、夏休み明けて子供の自殺率が高まる時期に、はるかぜちゃんが、「“学校から逃げてもいい”という言葉は偽善です」というふうにnoteに書いていましたよね。「命を落としてしまうぐらい辛いんだったら学校には行かなくてもいいよ」っていう情報発信が最近の主流のなか、「でもそれはどうなんだ」というふう投げかけは衝撃的でした。あれはどういう真意があって?

「じゃあ、いじめられても学校に行って、命を落としてもいいんですか」と反論されたんですけど、それは誤解。「いじめられていて辛かったら学校に行かなくていい」っていうのは正しいんですよ。ただ、その意見が世の中に溢れすぎて、「いじめられた子が学校に行かなければ問題解決」って図が成り立ってしまっているのがおかしいという意味なんです。いじめられた子に学校に通う権利があるはずなのに。他の子の学習権を侵害しているいじめっ子のほうをなんとかしようという発想に至らずに、いじめられた子に転校を促したりだとか、フリースクールを紹介したりだとかする活動ばかりが目立ってしまうのはとても良くないなと思って発言しました。


――確かにそうですね。私も当事者の方に取材すると、不登校になってどうやって学ぶのか、フリースクールは高すぎるし、そこから受け入れてくれる学校がない、そもそも転校できないとか、そういう話を本当にたくさん聞きます。学校側もいじめの記録も残したくないからもめるというような話を聞きます。確かにいじめられた側の人たちがここまで苦労するほうが変ですよね。


もちろん学校に行けず悩んでいる子に向けて、「学校は必ずしも行かなきゃいけない場所じゃない」と伝えるのは大事ですが、「本当は学校に通いたかった」という想いもあるんです。だから、「いじめた側をどうにかするのか」とか「学校のシステム自体に問題はないのか」っていうのを模索しなきゃいけないはずなんです。

――昔、朝日新聞で「いじめている君へ」「いじめられている君へ」「それを見ている君へ」の3つの中でメッセージを寄せてくださいという企画で、多くの人が「いじめられている君へ」と書いていたなか、はるかぜちゃんが「いじめている君へ」と向けて書いたのが印象的でした。それってどうしてなんだろう。


いじめっ子には責めることしかできないじゃないですか。いじめはいけないことだから。でも、世の中が、いじめられっ子への優しい言葉だけで解決するわけもないんです。

いじめの負の感情って上から下に流れてしまうものだと思っていて、家が居心地悪いから、学校で友達をいじめている可能性もある。そもそも、学校って、30人ものいろんな人間を一箇所に集めて、みんなで仲良くしましょうねって言っていても、ちょっと無理なことかなとも思うんです。だから、朝日新聞には、「君が今いじめている子の後ろの人たちのことを、家族とか友達とか、君がいじめている子のことを大切に思っている人々のことまで、あなたは傷付けたいんですか?」っていう内容の文章を寄稿しました。小学生のときの文章が、今になってまた賛同を得ているのはうれしいです。

きっとその場ではいじめって楽しいことなんですよ。多分。優越感を得られるし、一緒にいじめている子たちと仲間になれるし、承認欲求も満たされる。でもそれって一瞬のこと。

その一瞬の優越感、承認欲求のためだけに、残りの人生、相手はもちろん、自分の人生も無駄にしてもいいのかって思っています。




単位制、演劇、いじめ保険ーーいじめ解決のための提案





――例えば、学校のシステム、仕組みで「こうすればいいのに」という考えていることはある?


大学みたいにクラス制をやめて、単位制にして、自分が取っている授業に自分だけで行くっていうスタイル。それなら、“自分で決めたこと”っていう意識も生まれますし、そのときそのときでメンバーが違う。担任制もなくていい。いじめが起きると、すぐ担任の先生の責任になってしまいがちだけど、固定しないなら、先生全員が生徒一人一人の担当という意識を持てるでしょう。


――麹町中学校とかが実際それをやっていますよね。多分賛否はいろいろあると思うけど、いじめられた時や進路相談のときとかも、相性のいい先生を選べますよね。


あとは演劇だとかディベートの授業を取り入れるのも大事かなと思っています。いじめっ子役として発言してくださいとか、別の子と親友役にしてみるとか。その立場の人になりきって発言してみるって、すごい想像力がつくと思うんです。


――私たちも、選挙に行こうという出張授業で、若者役、高齢者役と割り振ったりしてロールプレイングゲームで学ぶとわかりやすいんですよ。 では、実際にいじめがおきたときに学校側の対処として望むことは何?


正直、学校側に相談しても、大事にしないで済ませましょうってなりがち。それって、いじめが担任の責任になってしまいやすいからだと思います。それに、先生たちの仕事量が多すぎて、手が回らないっていうのも絶対にありますよね。

 ただ、案外、保護者でもない、外部の大人からの働きかけだと、すごい真剣に取り組んでくれたりもします。教室の外のことなら、もうごまかせないから。


――確かに、第三者機関が学校に入り込むってことは有効ですね。スクールロイヤーみたいなのも日本だとまだまだ浸透してない。アメリカだと校内ポリスがいて、“いじめは先生の責任じゃありません、ポリスの責任です”みたいな。日本だと、すべてが先生の責任にされがちだから、当然、隠したくなるし、認めない。 ただ、現状だと、いじめられた側がいじめを受けた自覚をしたら、すぐに“いじめ認定”されて、調査委員会を設けなきゃいけない。「先生いじめられましたー」っていう軽いノリの場合の、深刻な場合の線引きは難しいですよね・・・・。


そうですね。“いじめられました、いじめ”もありますからね。

例えば、「いじめ保険」はどうでしょう。いじめられた子が転校しなきゃいけないってなったときに、学校から依頼されている保険会社からお金が下りるみたいな。学校側も対策が難しいことも多いけれど、保険という手があれば、学校の対応策の手段が増えます。そのために、証拠は残さなきゃいけない。


――仲直りすればいいんですとかそういう次元じゃなくて、証拠残しましょうと。


はい。証拠を残して、弁護士さんに相談、携帯持ち込み禁止とかになっていても、持ち込んで録音しておいたほうがいいと思います。





編集後記:


なぜ、はるかぜちゃんが、いじめ問題に強い意志を持って発言しているのか。自分のフォロワーの子の自殺配信という衝撃的なことがあるなんて想像もつきませんでした。そして、それに対して、向き合い続けた彼女の考えは、今の世の中の矛盾や当事者の子たちの苦悩を的確に捉えていると思いました。考えた抜いたから、「自分の言葉を持っている人」だと感じました。「いじめ、絶対ダメ」なんて誰にでも言えることは言わない。「やっぱりいじめがなくならない」と悟っている一方、今できること、大人にしてほしいことを現実的に見極めていました。今、いじめに悩んでいる方に届くことを願います。


次回は、はるかぜちゃん自身がtwitter炎上や殺害予告→訴訟にいたるなどの“SNSいじめ”を経験しながらも、発信を続け、顔が見えない敵と闘う理由などを聞いてみました。


#元いじめられっ子から今いじめられている君へ

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