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  • 執筆者の写真笑下村塾

「コロナと学校教育について考える」藤原和博さん寄稿文

この記事は教育改革実践家の藤原和博さんからの寄稿文です。


「9月入学制」の問題

 

はじめに、「9月入学制」への移行問題については、3ヶ月の学校の閉校で生じた遅れを取り戻すことと一緒に議論すべきではありません。

 なぜなら、それをやると学校現場は「3ヶ月の遅れを6ヶ月かけて取り戻せばいいのね」と解釈し、旧態然とした授業がダラダラと続くことになるからです。


 まず、3ヶ月の遅れと言いますが、実際に授業日数で数えてみると主要教科だけなら10日間でカバーできることがわかります。 


 遅れた分は、冷静に考えると、もともと休日が多い3、4、5月だから平日は43日。3学期末と1学期初頭は行事が多く卒業式や入学式の予行などで授業が潰れがちな期間なので、授業日数は半分の20日間程度。さらに英算/数理社はその半分だから実技教科を除けば10日間になります。夏休み中に十分カバー可能なのです。


 さらに言えば、中学生以上で塾に通っている子は半分以上いて先に進んでいるでしょうから、旧態然とした授業が先送りされるのには耐えられないでしょう。

 経済的に厳しい家庭の児童生徒のフォローを「一斉」ではなく「バラバラ」に呼び出して真摯にすることが教員に求められるのです。




海外ではもはや「通年入学」


 9月入学のもう一つのセールスポイントに挙げられている「グローバルな基準との整合性」ですが、海外のトップスクールはすでに「通年入学」に移行しつつあり、グローバル企業も「通年採用」でしょうから、あまり根拠がありません。


 私個人は、大学だけ9月入学に移行するのはありだと考えています。

 高校以下は揃えても混乱を生むだけでメリットがなく、必要ありません。


 すると、3月に卒業してから大学入学まで半年のギャップタームが生まれますが、この方がよほど、日本の社会を柔らかく開くキッカケになるように思います。

 受験、受験で「正解至上主義」の道をひた走っていた高校生が、ボランティアやインターンでふと我に返って「人生を考える」好機になるかもしれないからです。




 「9月入学」の議論を活発にすることは教育界にとって良い刺激になるでしょう。

 合わせて議論したい「オンライン授業」の中身については、かなりの仕掛けを考えないと、黒板を背にした教員の退屈な動画と電子紙芝居のようなパワポが氾濫して、生の授業よりつまらないもので満たされることになるのでご留意ください。


より詳しく知りたい方はこちら


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9月入学のイベントに関するご案内


【生激論!9月入学の是非を問う】



■概要

新型コロナウイルス禍で3月2日に全国休校要請が出てから3ヶ月弱が経過。ネット環境や端末の整備が追いつかずオンライン授業などできていない学校もあるなか、今国会で話題となっている「9月入学」。

自民党や公明党でも議論されています。

SNS上や国会でも意見が別れ対立が見られるなか、それぞれのメリットデメリットを専門家の視点から詳しくお話いただきます。


■参加方法

参加費は無料ですが、下記よりチケット購入をお願いいたします。


■日時

5月27日(水)19:30-21:30


■参加方法

Youtubeライブ(たかまつななチャンネル)


■登壇者

・教育改革実践家

藤原和博氏

・教育経済学

中室牧子氏

・モデレーター/お笑いジャーナリスト

たかまつなな

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