校長には投票権がなく、生徒にはある? デンマークの「学校民主主義」
- 笑下村塾

- 1 日前
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こんにちはスタッフの山田です。 「生徒会で意見を出しても、最後は先生が決める」
そんな感覚を持つ人は多いかもしれません。しかし、デンマークの公立基礎学校「フォルケスコーレ」では、生徒参加は善意や校風ではなく、法律の中に組み込まれています。
フォルケスコーレ法第1条第3項は、学校が子どもを「自由で民主的な社会への参加、共同責任、権利と義務」に備えさせ、学校の営み自体を「精神の自由、平等、民主主義」によって特徴づけるよう定めています。民主主義を授業で教えるだけでなく、学校の日常そのものを民主的に運営する、という考え方です。
生徒会は「学校が認めた活動」ではなく、法律上の権利
第5学年以上を置く学校では、生徒には生徒会(elevråd)をつくる権利があります。生徒が自ら動かなければ、校長は設立を促さなければなりません。全生徒に選挙権と被選挙権があり、選挙は毎年10月末までに実施されます。
生徒会は校長や教職員と協力し、生徒全体の利益を代表します。規約案は、全生徒が参加・投票できる会議で決めます。学校は会議室や事務設備を提供しなければならず、生徒会は校長の裁量で認めたり取りやめたりする課外クラブではありません。
生徒の1票で、校則や予算を決める
さらに各学校には、学校理事会(skolebestyrelse)の設置が義務づけられています。保護者が過半数を占める一方、教職員代表と生徒代表もそれぞれ少なくとも2人入り、生徒代表は生徒の中から選挙で選ばれます。
重要なのは、生徒代表にも正式な議決権があることです。校長と副校長は理事会に出席しますが、投票権はありません。個別の生徒・教職員に関する案件を除けば、生徒の1票は保護者や教職員の1票と同じ法的な重みを持ちます。
理事会は、授業や学校生活の基本方針、選択科目、クラス編成の原則、学校行事などを定め、自治体が設定した財政枠の中で学校予算を承認します。教材を承認し、校則と学校の価値規範を定めるのも理事会です。
「意見を聞く」から「一緒に決める」へ
生徒会は生徒の意見を集めて学校側と交渉する代表機関、学校理事会は学校運営を正式に決める意思決定機関です。両者は同じものではありません。しかしデンマークでは、生徒の声を集める回路と、生徒が実際に投票する回路の両方が法律で保障されています。
もちろん、保護者代表が過半数を占め、自治体が大枠を定めるため、生徒の提案が何でも通るわけではありません。それでも、「聞きました」で終わらず、生徒が決定の席に座り、賛否の責任を負う。デンマークの主権者教育は、模擬選挙ではなく、毎日の学校運営から始まっています。
参考資料
1. デンマーク教育省「The Aims of the Folkeskole」
2. デンマーク政府法令データベース Retsinformation『フォルケスコーレ法』(LBK nr 1100)第1条、第42条、第44条、第46条
3. デンマーク政府法令データベース Retsinformation『フォルケスコーレにおける生徒会に関する規則』(BEK nr 695)第1条~第6条
4. デンマーク教育省「Elevrådet og elevernes stemme i folkeskolen」
5. デンマーク教育省「Skolebestyrelsen i folkeskolen」
山田


