公園がまるごと議論の場になる2日間――リトアニアのデモクラシー・フェスティバル「BŪTENT!」

リトアニアのデモクラシー・フェスティバルを取材しました。
公園が2日間まるごと「議論の場」になっていました。
ヴィリニュス中心部のベルナルディン庭園。芝生とテントが並ぶそこで開かれていたのが、BŪTENT!(ブーテント)です。公式サイトでは、国内最大の討論イベントと紹介されています。入場は無料で、誰でも参加できます。

BŪTENT!は、リトアニア語で「まさに、その通り」という相槌の言葉。話を聞いて膝を打つ、あの瞬間が名前になっています。
今回は、日本で「民主主義ユースフェスティバル」を開いている日本若者協議会のメンバーと一緒に回りました。
■政党も省庁も、企業も、同じ芝生に
会場にはテントがずらりと並び、そのほとんどで討論やイベントが行われていました。

ブースを出しているのは、政党、省庁、公共放送、大学、銀行やお菓子メーカーなどの企業、そしてドイツ軍まで。行政と企業とメディアが連携して、討論の場をつくっています。主催者によると、政治的に左右のバランスがとれるよう気を配っているそうです。
議論の合間に楽しめる仕掛けも多くありました。輪投げでお菓子を配るブース、サイエンスショー、みんなでチェスをするテント、ジェラートやジュースの屋台。芝生の上にはソファーが置かれ、寝転びながら討論を聞く人もいました。

子どもが遊べるスペースもあり、シャボン玉で遊ぶ子どもたちの姿も。公式サイトでも、3歳以上の子ども向けのスペースや、年長の子どもが参加する「ミニBŪTENT!」を用意し、家族での参加を呼びかけています。
■「ここは解決策を見つける場所ではない」
主催者のCEOに話を聞きました。なぜこれを始めたのか。
「みんな、いろいろなことについて意見を持っている。それを出す場所を用意したかった」
そして、こう続けました。

「ここは解決策を見つける場所ではありません。議論するための場所です」
大事なのは、異なる考えを持つ人たちが意見を交わすことだといいます。
提言をまとめるでも、合意に着地させるでもない。だから来場者も目的がばらばらでした。議論しに来る人、質問しに来る人、ただ聞きに来る人。お祭りにふらっと来る人、犬を連れて散歩する人。それでいい、という設計になっています。
■国防省のブースで問われた「自由を守るために大切なこと」
国防省のブースでは、「自由を守るためにあなたにとって大切なことは?」という問いに、参加者がダンボールに答えを書いて飾っていました。小さな子どもも、メッセージを書いていました。占領され、独立を勝ち取った歴史がある。だからこそ、自由について考え続けているそうです。軍のブースでは、ドローンの操作も体験できました。

公共放送LRTの人は、「メディアを通してだけでなく、実際に会って意見を交わす機会をとても大切にしている」と話していました。民主主義を守るために何が一番大事か聞くと、「ジャーナリズムを守ること。そして国際的にジャーナリストが連携すること」と答えてくれました。

気候省のブースでは、若い世代は環境問題への意識が高い一方で、高齢の世代には「なぜ今それを解決しなければいけないのか」が伝わりきっていない、という話が出ました。
■政治学の学生も、散歩の人も、署名を集める若者も
政治学を学ぶ学生は、「学科の友達の間では有名だけど、一般的にはどうだろう」。
別の人は、「政治の話はあまりしないけれど、社会問題については同僚や友達とよく話します」。
フェスだから、なんとなく来たという方もいました。フランスやドイツなど、国外から来た人もいます。
ギリシャから来た若者たちは、性暴力や性教育、子どもの心理的安全やメンタルヘルスをどう守るかについて、署名を集めていました。

■日本で同じ場をつくる人たちの目にどう映ったか
一緒に回った日本若者協議会のメンバーに、感想を聞きました。

「自分たちのフェスティバルは、会場の都合でステージを一つしか作れていない。ここでは、それぞれ別の団体が企画したパネルディスカッションがたくさんあって、多様な視点から対話が広げられていた」
「規模の違いが一番印象に残った。このくらいできたらいいなという願望はあるけれど、資金の問題や、頼める相手・範囲が限られてしまう。その壁をどう打ち破って、対象や範囲を広げていくかを考えさせられた」
「たくさんのリトアニアの人が来ていて、生活に民主主義が溶け込んでいると感じた。軍のブースを見て、安全保障がこの国にとって深刻な課題なんだと思った」
芝生に座って、隣の人の意見を聞く。そういう場が、2日間、街の真ん中に用意されていました。
政治について気軽に話せる場所は、あなたのまわりにありますか。
取材の様子は、動画でもご覧いただけます。

※この記事は取材をもとに、構成の一部にAIを使用しています。


