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専門家が読み解く、日米首脳会談

  • 執筆者の写真: 笑下村塾
    笑下村塾
  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:9 時間前

緊迫する中東情勢の中で行われた日米首脳会談。現代アメリカ政治外交の専門家・前嶋和弘教授と政治記者の今野忍氏が、今回の会談が持つ真の意味と、日本が直面する外交の難問を読み解いた。

※この記事は、YouTubeチャンネル『たかまつななのSocial Action!』のために2026年3月21日に収録した内容を元に作成しました。


成果は「マイナスをゼロにしたこと」

今回の会談における最大の評価ポイントとして、前嶋氏は『最大の成果は、ホルムズ海峡に日本の艦船を派遣しようとはっきり言っていない、それがやっぱり最大の成果なんだと思う』と話す。 高市総理が伝えた「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」という賛辞は、国内では批判の声もあるが、前嶋氏はこれを「高度な外交レトリック」と分析する。『よく考えた言葉ですよね。「あなたがイランの攻撃やめてネタニヤフを説得すればいいんだよ」という否定の言葉にも聞こえるし、「イランを攻め込んで世の中よくしているのはあなたですよ、あなたは世直ししているんですよ」という風にもトランプ大統領は思うわけなので』。 今野氏も『今回の会談は何かを得るためではなく、失わないための会談。つまり現状維持ができれば100点満点と問題設定すれば、ほぼ100点』と述べ、日本の実害を最小限に抑えた点を評価した。


「ビジネス第一」のトランプ外交と日本の苦肉の策

トランプ政権の本質は外交ではなく「取引(ディール)」にある。今回の会談に合わせ、トヨタやソフトバンクといった日本企業のトップが夕食会に同席したことはその象徴だ。日本が提示した「お土産」には、次世代型小型原発の共同開発やテキサス・ペンシルベニアでの天然ガス発電施設への投資が含まれる。しかしその中身は厳しく、投資利益の大半をアメリカが取るような条件も含まれている。 前嶋氏は今回の日本の外交姿勢についてこう解説した。『トランプ政権としては、日本とか他の国はアメリカをぼったくってきたんだ、ぼったくり返すぞって話で。そのぼったくり返すと怒っている人たちのところで、少しでもウィンウィンというか、少しでも日本に得になるものを考えて動いていく。逆にいうとぼったくられないように頑張る。これは各国が思っているわけですね。トランプに従っているようでぼったくられないようにする。なんか、そんなもので良いのかって問題ありますよね』。


「台湾有事」をめぐる認識のズレ

会談のもう一つの焦点は、中国による台湾への現状変更をどう抑止するかだった。高市氏が「台湾有事には日本もアメリカを助ける」といった趣旨の発言をしたことに対し、トランプ氏は必ずしも歓迎していない。過去のインタビューでは、「同盟国は同盟国であって友達ではない」と発言しており、トランプ氏の状況に応じて変化する態度が日米外交の難しさを生んでいる。前嶋氏は、『トランプ習近平会談は今年4回ありますので、毎回同じようなことをすると思うんですよね。毎回お土産を持って行かないといけないという大きな問題がある』と述べた。

多様なアメリカとどう向き合うか

「今後日本は、アメリカとこれからどういう関係性を作っていくのがいいか」というたかまつの問いに対し、前嶋氏はまず「アメリカは一枚岩ではない」という前提を強調した。アメリカ国内では今回のトランプ氏の行動を3割が支持し、3割が批判しており、さらに無関心層も存在している。

トランプ氏のコア支持層には、人口の約20~25%を占める「キリスト教福音派」がおり、イスラエル支援の背景にもこの層の強い支持がある。気候変動対策についても、福音派には「気候というのは神様が決めるから、我々がCO2を出す出さないで変えようとするなんて神への冒涜だ」という考えがあり、懐疑的なようだ。 一方でカリフォルニア州のように2035年までにガソリン車の販売禁止を掲げる地域も存在するなど、アメリカ国内の価値観は大きく分断されている。

前嶋氏は『SDGsこそ世界が動く方向だという層と、SDGsこそ潰していくという層と、2つがある。日本としては、このめんどくさいアメリカと付き合うっていうのは、めんどくさいです。めんどくさいけれど、丁寧に今のところ行くしかない』と述べた。 そのうえで、アメリカ一辺倒ではなく多くの国と外交を厚くする「プランB」の重要性を訴えた。中国と対立したままでいる状況ではなく、重層的な外交を築いていくことが、不確実な時代を生き抜く日本の針路ではないかと結んだ。

文・玉城

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