民主主義は、教えるものではなく、やってみるものだった――スウェーデンの主権者教育を、小学校と国会で見た

■銃撃事件を防ぐために、「学校に金属探知機を導入すべきか」
ストックホルムの学校で、主権者教育の授業を取材した。
この日のテーマは「学校に金属探知機を導入すべきか」。
賛成の声も、反対の声もあった。銃撃事件を防げる。いや、学校が不安な場所だという空気が広がってしまう。
議論の途中で、こんな案が出た。
「カバンを透明にすればいいのでは」
賛成か反対かで終わらせず、その間を探る。折衷案が子どもの側から出てきたことに驚いた。
廊下の掲示板には、9月13日の選挙に関する情報が貼られていた。先生が資料を集めて、作ったものだという。各政党の情報や、政策ごとの違いなどがまとめられていた。
■学校は自分たちの声を尊重してくれる
こどもたちにも少し話を聞いた。
政治の話は普段からするという。「自分は移民に賛成だから、左だと思う」と答えてくれた。
「社会は変えられると思うか」と聞くと、思う、と返ってきた。

「学校は自分たちの声を尊重してくれる」とも言っていた。
いま進めているのは、校庭に新しい遊具を入れてほしいという提案だそうだ。
小さい頃から、自分たちの声が聞かれる経験をする。実際にルールを変えた経験がある。だからこそ、社会も変えられるという手触りがあるのではないか。

■国会のなかにある「民主主義工房」

もうひとつ、国会議事堂のなかに、中学生が「議員」になって法案を審議する施設がある。
デモクラティヴェルクスターデン。日本語にすると「民主主義工房」。7〜9年生が対象だ。
生徒は架空の政党に振り分けられる。自分で選ぶのではない。そして気候変動とゲノム編集という、実際の争点について議論する。

進め方は、実際の立法プロセスをそのままなぞる。政党会議で党の方針を決め、委員会で審議し、最後は本会議場を模した部屋で採決する。所要は2時間弱。
こどもたちはまず、報道風の映像を見て背景知識を入れる。委員会では解決策を提案し、いいと思うものを2つ選んで投票する。

そこで問われるのが、これだ。
「この問題では、どの党と協力できるか?」

正解のない問いを、生徒自身に考えさせている。合意形成や、折り合いをつけることを実践する場になっていた。
ここに来られない学校のために、教室でできる版の教材が無料で配られてもいる。
■練習しているのは、意見を言うことではない
2か所を見て、共通していることに気づいた。
どちらも、自分の意見を言う練習をしているのではない。意見が違う相手と、合意形成をする練習をしている。
小学校では、賛成と反対の間から「カバンを透明にすれば」という案が出てきた。国会の施設では、自分が選んだわけでもない政党を割り当てられたうえで、どの党と組めるかを考える。

スウェーデンで何度も聞いたのが、合意形成という言葉だった。英語ではcompromise。日本語では「妥協」と訳されることが多いけれど、「互譲」という訳しかたもあるのだと教わった。お互いに譲る、という意味だ。

民主主義は、考えが違って当たり前。だから、対話して、お互いに譲って合意していく。
その練習が、小学校の教室から始まっていた。
民主主義を「教える」のではなく、「実践する」。それが学校の現場で、日常のなかで、繰り返し行われていた。
日本に何を持ち帰れるか、考えている。

※この記事は取材をもとに、AIを使用しています。


