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可能性を広げ、自分のやりたいことをやる。それが民主主義。――スウェーデンのユースセンターで、民主主義はどう伝えられているか

執筆者の写真: 笑下村塾
笑下村塾
10月4日
読了時間: 6分

スウェーデンのKEKS(ユースワークの質向上ネットワーク)を取材。KEKSとは、共通の指標でユースワークの質を測り、自治体どうしで高め合うスウェーデン発のネットワークのことだ。


■ やりたいことが、ここで全部できる

ストックホルム近郊のアクティビティハウス「モザイク」を訪ねた。名前は公募で決まった。提案したのは、ここに通う中高生のひとりだ。地域にいろんな国籍の人が暮らしていること、そしてここでできる活動も多様であること。その両方が理由だという。



案内してもらって驚いた。eスポーツの部屋、3Dプリンタ、レーザーカッター、鏡張りのダンススタジオ、メイクルーム、音声収録とビデオ撮影のスタジオ、楽器の部屋、キッチン。4Kプロジェクターのあるホールは、上映会にも講演にも使える。防音の部屋がいくつも並び、隣で音楽を鳴らしていてもドアを閉めれば静かになる。



最新の機材がそこにはあり、大人でも使いたいと胸が踊るものばかりだった。やりたいと思ったことが、ここでそのまま形になる設備がそろっていた。


■ 安心して使えるように「予約制」をとっている

ただし、ふらっと入って何もせずに過ごすことはできない。その日のメニューが貼り出されていて、そこから参加する活動を選んで申し込む。午後の小さい子は紙に記入する。中高生が集まる夕方はアプリを使い、2週間前から2時間前までのあいだに枠を取る。ただ「やることは常にあるので、予約していなかったから帰ってもらう、ということは実際には起きていません」という。


理由は2つあると説明された。ひとつは機材の使い方を確認するため。もうひとつは、自分の場所と時間が確保されていて、誰にも取られないと分かっていることが、安心につながるからだという。


その効果は数字に出ていた。以前は参加者に占める女子の割合が35〜36%だったが、いまはほぼ半数になっているという。


この施設が開いたのは2024年の夏。設計には約600人のティーンエイジャーが関わっている。屋外プールとゴーカートは実現しなかったそうだが、部屋の構成も活動も、彼らの希望からできている。

調理場が併設されていて、お菓子などをこどもたちが販売しており、その売り上げはこどもたちの活動に使える。


■ 重要視している5つのこと

重要視している5つのポイントを教えていただいた。


居場所 … 出身に関係なく、誰もが安心して集える

主体性 … 若者が自分でつくり、参加し、表現する

多様な活動 … 文化・スポーツ・レジャーを幅広く

予防と健康 … だれも置き去りにせず、健やかさを支える

民主主義 … 活動の中身を若者自身が決める


■どのように民主主義を伝えるか

中でも、民主主義をどのように伝えるのか深く聞いた。


SNSで見たことを成功の基準だと思い込んでしまいがち。そこに到達できないと無気力になり、何をすればいいか分からない。希望が持ちにくい中で、ユースセンターを通して、自分で自分のやりたいことを意思決定する中で、可能性を持って欲しい。



「民主主義は、人の可能性を広げ、希望を持つこと」だと感じました。


民主主義を学ぶことは大切にされている。教えるような形をとることも、議論の形をとることもある。


政治家が来て話すこともある。ただし、自分の党を代表することは許されない。話すのは、民主主義の基本的な価値と仕組み、そしてこども自身が持っている権利についてだ。


ユースリーダーが伝えることもある。この地区にはシリアやイラクなど、民主主義を経験する機会が少なかった国から来たこどもが多い。だからこそ、自分の意見を表現する必要性を強く伝えているという。


この地区は、自治体が「優先地域」と呼ぶ場所のひとつだ。理由のひとつは、投票に参加しない人が多いこと。雇用、学業、言語、居場所、そして民主主義に加わること。その全部に壁がある。


「この地域では、自分にどんな権利があるのかという情報が届きません。だからユースワーカーの仕事は、民主主義と包摂にとって本当に重要なんです」


意思決定の場も用意されている。ユースセンターの評議会をつくり、活動の内容を若者自身が決める。いま自治体が中高生向けの新しい図書館を計画していて、どんな場所にしたいか、何を置くか、何時まで開けるかを、中高生に聞きに来ているそうだ。


ユースセンターのない地域には、移動式のユースセンターで出かけていく。フードトラックのように見えるが、積んでいるのは音楽やゲームだ。釣り用のボートも2隻あり、街から出たことのないこどもを外へ連れ出す。夏の遊園地も冬のスキーも、国から配分される資金を使って無料でいけることがあるが、そういう情報が届いていないため出向いているという。



■ 人数では、質は測れない

この施設の背後にあるのはKEKS(ユースワークの質向上ネットワーク)という仕組みだった。共通の指標でユースワークの質を測り、自治体どうしで高め合うネットワークだ。この自治体は2008年から参加している。


活動は「ログブック」というシステムに記録する。来場した回数も数える。ただ、その数字を成果とは見ない。


「無料のホットドッグを配れば500人集まります。でもその500という数字は、その子が何を学んだのか、何を考えるようになったのかを、何ひとつ示さない」


代わりに質を測るのは、中高生自身が答えるアンケートだ。安心して過ごせたか。自分らしくいられたか。アイデアを出したか。計画に関わったか。スタッフは自分の提案を受け止めてくれたか。ユースワーカーが仕事をしていないと感じたら、匿名で書ける。


31年この仕事をしている担当者は、最初は測ることに反対だったという。


「でも、自分がやったことを、話ではなく事実で上司に示せると分かった。これは私の言葉ではありません。こどもたち自身の言葉です」


その数字は、政治家に示す材料にもなる。


■ こどもの権利から話してください

最後に、日本の政治家をどう説得すればいいかを聞いた。


「民主主義と、こどもの権利から話してください。すべてのこどもには、こどもでいる権利があります」


期待が高すぎると、こどもは「どうせ自分は届かない」と諦めてしまう。だから夢や希望を聞くところから始めるのだ、と。


「大人から見れば馬鹿げた夢に聞こえるかもしれません。でも、誰かがそれほど情熱を持っているなら、それを否定する権利は私たちにはありません」


居場所をつくることと、民主主義を伝えること。それが繋がっていると分かる場所だった。



取材:2026年9月8日、スウェーデン

※この記事は取材をもとに、AIを使用しています。

 
 
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