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  • 執筆者の写真笑下村塾

はるな愛「歩道橋から飛び降りたら…」壮絶ないじめに耐えた中学時代

松浦亜弥の口パクモノマネでブレイクを果たし、ニューハーフの世界一を決める大会でも優勝経験を持つタレントのはるな愛さん。明るく快活なイメージがありますが、生まれた性別と実際の性別の違いが原因で、子供時代に壮絶ないじめを受けていたそう。「死んでしまいたい毎日だった」と語るはるなさんに、いじめを乗り越えた方法や自分の居場所の見つけ方を、笑下村塾のたかまつなながYouTube「たかまつななチャンネル」で聞きました。





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「オカマ」といじめられ、暴力にまでエスカレート

――昔いじめにあわれていたとお聞きして、とても驚きました。 そうですね。幼稚園の頃、ママごとでもお母さん役をやるような子供だったので、自分はどうして女の子じゃないんだろうっていう疑問をずっと抱えていました。 当時から女の子の服を選んで着ていたんですけど、小学校は幼稚園からの持ち上がりだったので、そんなにいじめられなかったんですよ。なんだったら、本名が大西賢示なので「ケンちゃん」と呼んでくれたり、ピンクレディーがはやっていたので賢示のKを文字って、「ケイちゃん」なんてあだ名をつけてくれたり。その時は大きくなったら、体がどんどん変わって女の子になって生きていくと思ってた。 それで中学に入る時、お母さんから「ほかの小学校からも生徒が来るから、いじめられないように男らしくしなさい」と言われて、ガニ股で歩いたり、足を開いて座ったりして。そうして男らしい自分を演じていたんですが、小学校の時に松田聖子さんのモノマネでテレビ番組に出演したことがあったんですけど、それを聞きつけた同級生が「オカマ」とかって言い出して、いじめが始まっていきました。 ――どんないじめだったんですか? 私をいじめてきた子はやんちゃなタイプじゃないんですよ。むしろ勉強ができるような優等生。足を引っ掛けてきたり、どつかれたり蹴られたり……。掃除道具の中に閉じ込められて、倒されて転がされたこともありました。 ――それは壮絶ですね。 私を見つけてはいじめてくるので、誰もいない階段の踊り場とか、その子に見つからないようにずっと逃げていましたね。それでも見つかるといじめられました。殴られた後、石灰を口や顔に押し付けられたり。 本当につらくて、自分がひとりぼっちなイメージがして。それでも誰にも相談できませんでした。とくに親は、共働きで忙しかったので迷惑をかけられないので絶対に言えませんでしたね。



――つらいですね。 はい。近くに大きな道路があったんですけど、歩道橋の上から飛び降りようって何度も考えました。でもすごく怖かった。怖くて、つらくて……、死ねませんでした。飛び降りるのが怖いから、団地の壁に頭をずっと叩きつけてこのまま意識がなくなればいいなって。本当にずっとそういうことを考えてました。 ――飛び降りるのを思い留められた理由はありますか? 死にたいと思った時、親を泣かせたくないという思いが浮かんだり、昔旅行に行った楽しい思い出が蘇ったりして、「今死んだら喜ぶのはいじめっ子だし、悲しむのは大好きな親。これって間違ってる」と思い留まりました。 それなのに、また次の日学校に行ったら、いじめられてつらくて死にたくなる。その繰り返し。本当に毎日が嫌で嫌で仕方なかったですね。 ――ご両親の存在が大きいんですね。 そうですね。その分、自分を偽って男として生きていった方が親は喜ぶんだろうなって、自分を追い込むことにもなりましたね。自分のための人生を生きるのは、親が亡くなった後の、自分が晩年の年齢になった時。それまでは親に認めてもらえるぐらい頑張って、以降は女として生きていきたいなって考えていました。 ――いじめはずっと続いたんですか? いじめられはしていたけど、優しい先生もいたし、居場所もあった。やんちゃなグループの仲間に入れてもらって、両親が経営するスナックのカラオケで稼いだ小遣いを持ってご機嫌をとったりしていたので、この居場所があればいじめられなくだろうと考えてました。とにかく逃げて逃げて逃げ抜いた中学時代でした。だけどある日、いじめがぱたっとなくなったんです。 ――何かきっかけはあるんでしょうか? うちのスナックのお客さんが、「ケンちゃんと多分同じような人たちがいるお店があるから一緒に行きへんか」って誘ってくれて、ニューハーフのショーパブに行ったんです。 それまでは、男性が女性の格好している姿を気持ち悪いって思っていたんですよ。親もそう言っていたという影響もあって。女になりたいと思っていたので、ニューハーフにはなりたくないという気持ちもあったんです。 だけど、実際に見に行ったら全然違った。すごくキラキラしていてキレイで。私が松田聖子さんのモノマネでテレビ番組に出ていたことも知っていてくれて、「明日から楽屋に遊びにおいで」と誘ってくれて。その瞬間、私の居場所はここだって思ったの。それからは、放課後にお店に通うようになって自分の中に自信が芽生えたからか、いじめっ子の対象じゃなくなったんです。



アイドルを夢見ることで、辛い日々から救われた

――いじめられていた当時のこと、現在はどう捉えていらっしゃいますか? 大人になって思ったけど、いじめっ子って私と同じ不安でめちゃめちゃ弱い人なんだなって。自分より弱い人をいじめることでしか、自分が強いとか大きいとか見せられないんですよね。今思えば、そういう手段でしか選べない、弱くて寂しい子なんだなって思います。 そんな風に捉えられた今、いじめた側も大人になってから傷を負うんじゃないかと。だから、絶対にいじめなんて方法は選ばないでほしい。 あとはいじめにあっていても、死なないでよかったと思うことがいっぱいあります。もちろん、夢である今の仕事に就けたのもそうだけど、おいしいごはんを好きな人や家族と一緒に食べて、笑っている瞬間が本当に幸せで、死なないでよかったって思うことがすごく多い。 だから、今いじめにあわれて辛い思いをしている方も絶対に死なないでほしいです。すぐに見つからないかもしれないけど、居場所は必ずあるので、絶対に命は落とさないでほしいって心から思っています。 ――大人になってからわかること、たくさんありますよね。 私だってそう。これだけいじめにあっていても、人間って弱い生き物だから、いじめる側の立場に加担しそうになったことだってあるんです。そういう場面に出くわしても、何も言えなかったり。 だからみんなで一個一個きちんと向き合って戦っていかなきゃいけないんですよね。誰かを傷つけても自分を傷つけるだけだと。 大人になった今、自分のことで必死で、人のことを考えられるポケットの隙間はないんですけど、一つ夢を叶えたり、一つ幸せだなって感じたときに、一生懸命もがいてがむしゃらに走っているときに詰め込んでいたポケットに隙間が空くと思う。そんなとき、人のことを考えられるようになるんですね。 ――これまで出演してくださったいじめにあわれていた方もほかの世界に逃げていたという方が多かったんですが、はるなさんの場合、ニューハーフの世界に身を投じることで、悩みを抱えることになりませんでしたか? 悩みでもあるんですよね。それでも、松田聖子さんや中森明菜さんが歌っている姿をテレビで見ているだけで、つらい出来事を忘れられたんですよね。ドレスが揺れてかわいいなとか、歌詞を見て女性ってこういう恋心があるんだとか。 うちはお父さんがお母さんを殴ったりと家庭内暴力があって、家庭がけっこう複雑で……。それを止めようとして入ったら私が殴られたり、電気や水道が止められたり、借金取りが家にきたり。 だけど、テレビでアイドルを見ている時は、家族内に平穏が訪れることもあった。そんなこともあって、どうせ死ぬなら一度女の子になってみたいと思っていましたね。コンプレックスはあったけど、やりたいことはあったのでそれが救いになっていたのかもしれません。 ――ニューハーフの人たちが集まる場が自分の居場所になったと伺いましたが、どんな部分がご自身にとって安らぎになっていたのでしょうか? 男の人が女の人のドレスを着てメイクして、踊っていて。そういった姿に出会った瞬間から、私はこのステージに立ちたいって思ったんです。ステージがあって、お客様がいて、拍手が起こるショーパブが、当時の私にとってはまさに芸能界でした。 私が住んでいた団地は、小さな噂もすぐに広まるようなすごく小さなコミュニティでした。その中で自分が女になったら、家族に迷惑がかかるとわかってました。だからこのコミュニティにいるうちは、女性として生きていきたいなんて言えない。 その一方でニューハーフのショーパブは閉塞的なコミュニティではない、守られた場所でした。だから、この場所に出会った瞬間に、私の居場所はここだとすぐにわかりました。


上京してもずっと続く差別的な扱い

――はるなさんは幼い頃、どんな夢をお持ちだったんですか? 私が小さい頃は歌番組が全盛期だったので、アイドルに憧れてましたね。歌も本当に大好きで、カラオケ大会とかでも披露したり。幸いうちは、両親もスナックをやっていて親戚も居酒屋を経営していたので、カラオケ環境が整っていたんです。みんなが歌を教えてくれたし、小学校の時は演歌も習いに行ってました。とにかく歌手が憧れでしたね。 ――そんな憧れの仕事でお金をもらえるようになった時、喜びがすごかったんじゃないですか? 道のりはすごく長かったですね。まずは東京に出てニューハーフのお店で働いたんですが、そこでもいろいろなことを言われました。「気持ち悪い」とか、「俺、絶対ニューハーフなんて嫌」とか。私も若かったので、お客さんとケンカになりそうになったこともありましたね。 そういう毎日を過ごして、もっと色々なことに挑戦したいと強く思うようになっていた時、東京のテレビ番組でニューハーフが50人くらい集まる番組に呼んでいただいて。それで色々な芸能人の方にお会いするうち、芸能界に入りたいという気持ちが芽生えました。 当時大ブームだった安達祐実ちゃん主演のドラマ「家なき子」をパロディで主演することになったんです。「玉なき子」っていう(笑)。それで芸能界に入れるかもと思っていた時、当時よく共演させていただいた飯島愛さんから「うちの事務所においでよ」と誘っていただいて。それで本格的に上京することにしました。



必ず居場所がある。だから生きてほしい

――いじめにあわれていた経験が、現在に影響していることはありますか? 絶対に有名になってやるという、起爆剤にはなってました。 中学校時代のいじめっ子もそうですが、小学校の時に一度、高学年の人に「女の腐った天ぷら」って歌を歌われて泣いて帰ったこともあるんですよ。それに気づいたお母さんが相手の親御さんに苦言を呈してくれたみたいで、私、それが嬉しかったんですよね。自分自身をわかってくれない人が周りにいることで苦しい思いをすることが多かかったので、仕事で成功してみんなにわかってもらいたいと。 いじめがいいなんて決して思わないけど、あの時キツい言葉を投げかけてきた人たちに対して、「なにくそ」という気持ちがずっとあった。そういう人たちを見返すためにも、絶対に頑張ろうとは思ってましたね。 ――もしいじめられていた当時の自分に会えるとしたら、どんな言葉をかけてあげたいですか? 一瞬だからって。自分らしさを隠して誰にも言えなくてひとりぼっちでつらいよねって。わかってもらえなくて悲しいよねって。ただ生きていれば、人の気持ちを理解できる人間になるから、絶対にそこは諦めないで生きていってほしい。絶対に人のことを思える強い人間になれるから。そして人に必要とされる人間になれるから、死なないでほしいです。そう言いたい。 ――はるなさんの言葉で、心が軽くなる人がいると思います。 ニュース番組に出演させていただいているのですが、親に暴力受けたり、ごはんを与えてもらえなかったり、つらい思いをされている方々がいます。 自分を傷つける人が自分の愛する家族であったとしても、その場所を離れてほしいです。近くには信用できる大人、向き合ってくれそうな大人はいっぱいいます。そういう大人の人に会ってもらいたいです。つらい場所にずっといる必要はありません。みんな居場所があるんです。必要としている人が待っているんです。だからどうか生きて、そこにたどり着いてほしいです。


――たくさんメッセージをいただきましたが、最後にいじめに苦しんでいる子供たちにお伝えしたい思いがあればお願いします。 本当に夢だった芸能界のお仕事をして、いろいろな人の気持ちを考えられるようになって、いじめっ子だったあの子も苦しんでいたんだろうと思えるようにもなりました。 あとはやっぱり、あの時に死ななくてよかったと。死んで全てが終わって解決するなんてことなくて、自分の人生がそこで終わったとしても、周りにいる人たちの苦しみを抱えて生きていくことになる。 死のうと思っていた私がお伝えしたいのは、死のうと思った瞬間、頭を打ちつけて痛い思いをした瞬間、死ななでいでおこうと思いとどまった瞬間、その全ては一瞬間の出来事でしかないんです。だから、死ななでいでおこうという一瞬を多く持っておいてほしいなって。 生きていれば、朝ごはんが美味しいって思える日も来るし、海外に出てみたら世界が広いということにも気づける。死んだら何も気付けないし、何も考えられないし、何も向き合えない。世界には未知なるものばかりだし、必ずあなたの居場所がある。だから絶対に死なないでほしいです。 それから、私、女の子になったら悩みが全部なくなると思っていたんですよね。性転換の手術までして。だけど、「女の子じゃないから人に怒られるんだ」とか、「女の子じゃないからお友達と仲良くなれないんだ」とかって全部性のせいにしていたけど、実はそうじゃなかったことに気付いたんです。 手術した後も友達関係やお金の悩みが起こる。人生にはいろんな悩みがやってきます。ただ神様は、乗り越えられない悩みは絶対に与えないので、そこは試練だと思って逃げないで、しっかりと向き合ってほしいです。 悩みに向き合って一つ乗り越える大きな力が付くので、どんどん大きな人間、強い人間になっていけます。そうなったら、たくさん人のことを思いやれるポケットがいっぱい出てきます。 だから、いろんな人のことを考えて人と繋がりながら、自分の自由な人生を生きてください。絶対に死なないでください。あなたの人生にはこの先、素敵なことがたくさん待っています。 ――はるなさんの思い、みなさんに届いていると思います。今日は本当にありがとうございました。



笑下村塾#元いじめられっ子から今いじめられている君へ

「子どもの自殺」を止めたい。カツアゲ、暴力、殺害予告―。著名人が、壮絶いじめ体験をYouTubeで赤裸々に語ります。


プロジェクト特設サイト↓


<今苦しんでいる人へ>

まず相談してみよう。

いじめへの対処法は、人それぞれです。

上記のタレントさんと同じ向き合い方が正しいとは限りません。


まずは自分の状況を、だれかに相談してみることが大事。

親や信頼できる先生や大人に報告してみよう。

子どもの相談窓口もあるよ。


<主な子どもの相談窓口>

●よりそいチャット(LINE・チャット)

生きるのがつらい人の相談窓口。


●チャイルドライン(電話・チャット)

18歳までの子ども専用の悩み相談窓口。

☎︎0120-99-7777


●24時間子供SOSダイヤル(電話)

子どもや、いじめなど子どもに関する悩みを持つ保護者等が相談できる窓口。24時間365日相談できる

☎︎0120-0-78310


●BONDプロジェクト(LINE・電話・メール)

10代20代の生きづらさを抱える女の子のための相談窓口。

☎︎070-6648-8318


●自殺総合対策推進センター

都道府県・政令指定都市別の、いのち支える相談窓口一覧


その他​、厚生労働省HPも参考にしてみてください。


※親から虐待をうけている場合は、周囲の大人に相談したり、児童相談所全国共通ダイヤル(189)に電話しよう。




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