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  • 執筆者の写真笑下村塾

児童虐待の「本当の罪深さ」ーー俳優・遠野なぎこさんの凄絶な体験から考える、私たちにできること


【遠野なぎこ】「虐待は母の愛情だと思ってた…」壮絶な過去についてお伺いしました。


こんにちは、スタッフのスワンです。今回は、幼少期から母親の虐待や育児放棄に遭い、成人後もそのトラウマに苦しんでこられた、俳優の遠野なぎこさんにお話を伺いました。最後に振り絞るように出した子ども達へのメッセージが印象に残りました。そのインタビューの一部をお伝えします。


鼻血が出るまで、ずーっと


ーーお母さまからは、いつ、どんな虐待を受けられていたんですか。


物心ついたときには、殴られたりとか、精神的にも追い詰められるような、見た目のことをすごく責められるようなことを言われたりとか、食事を作ってもらえなかったりとか。

4人きょうだいの一番上なんですけど、私だけが(虐待を)受けてて、下の子たちは受けていないので、不思議だとは思ってました。けど、他の家庭を知っているわけじゃないじゃないですか。だから「こういうものだ」って子どもって思いますよね。


ーー当然、痛かったりするわけですよね。


はい。鼻血が出るまで、ずーっと殴られ続けたりとかしてたので…。でも痛いより、常に母親の愛情を求めていたんです。だから、その時間だけは母親に構ってもらえるという、ちょっと歪んだ愛の求め方をしていたので。


ーー愛情だと思われていたんですか。


思っていました。だって、私だけのことを見てくれている時間ですから。だから、よく殴られた後に、鼻血がポトポトポトポトって出て、床が汚れちゃうじゃないですか。汚いからバケツを渡されるんですけど、私はそのバケツの底に自分の血が落ちてくのを見ながら、痛いとかよりも、うれしかったんですよね。本当に今考えると変な話ですけど「私が構ってもらえた証だ」って、その血を見ながら恍惚とした気持ちを抱いていたような気がします。


ーー暴力は駄目とかというのは、当然、幼稚園とかで言われたりしますよね。


暴力だと思ってなかったです。今、思い出しても、暴力だと思えないから、憎んだりとかできないんです。


ーー鼻血が出るほど殴られても、そうは思わないということなんですか。


うん。今思うと、それはおかしいですよ、当然ながら。今は正常ですけど…うん、思えなかったですね。


ーー虐待をされているときに、お父さまは助けてくれなかったんですか。


父は父で、お酒飲みで、大工の仕事をしてたんですけど、夜帰ってこなかったりとか……私が何をされていたのか、知ってたのかな。というぐらいの距離感でしたね。夫婦げんかが絶えなかったですしね。お金持って、どっか行っちゃうし。もう家庭崩壊ですね。


ーーお父さまに助けを求めるということとか、そもそも助けを求めたいという感情とかはなかったんですか。


家族を守りたかったんです。だから父のことも、どうしようもない人だけど、守りたかったし、私が間に入ることで、全員を守ってあげられるんだったら、それでいいと思っていました。助けを求めたりなんかしたら、もっとバラバラになってしまうと思ったし。

私さえ我慢すれば、というのが強かったんだと思います、多分。


ーーまだ幼いのに、そんなことを思わないと…


でも現実、他の人が、誰がじゃあ守ってくれるんですかという……現実ですよ、それが。


再婚して尚も続いた虐待。そして本当の罪深さとはーー


ーーおうちの中が大変だと気付いたのは、いつぐらいだったんですか。


それは小学校高学年になってからですね。父と母が離婚し、母が再婚して。私が子役だったので、その現場のスタッフの人と再婚しました。一番下の妹が生まれて、割りとすぐに「好きな人がいるの」って「私不倫してるの。ダブル不倫してるのよ」って母に打ち明けられて。そのあたりから「ちょっと待って。この環境おかしくないか」って気付き始めましたね。


ーーそんなこと、お母さまに言われるんですか。


言われました。で、どういうふうに不倫してるか、初めてのキスはどうしたか、どれだけ相手を愛しているか、不倫相手の奥さんの悪口の話とかされて。今でも一番嫌なのが、相手の性器の写真を見せられて。もちろん私は処女だし、それが何なのかも、どういう状態なのかも分からずに見せられて「すごいでしょ。大きいでしょ」とか。でも、機嫌を損ねちゃいけないって思うから「すごいね、ママ。すごい大きいね」って返さなきゃいけなくて、しんどかったですね。本当、普通じゃない。地獄だなって思いました。


ーー身体的な虐待も続くんですか。


身体的な虐待は、中学生に上がった頃は、もう力もついてきたから、言葉になりましたね。あとは見えないところ、みぞおちとか、そういうところを殴られたりとかはしてましたけど。鼻血が出るまで殴られたりしたのは小学生までですね。

ーー言葉でというのは、どういうことを言われたんですか。


まず「醜い」。


ーー親が言うんですか。


そう。だから、それは今でも抜けてなくて、醜形恐怖症(※)っていうんですけど。今も、このぐらいの小さい鏡でしか自分の顔を見られなくて。リハビリはしてるんですけど、お化粧するときも、小さい鏡で全部お化粧して。気持ち悪いんです、自分の顔が。それぐらい「あんたは醜い」「醜い」って、ずーっと言われ続けてきたんで、もう、どれだけ自分がブスかというのは分かってるって、卑屈になっちゃう。


(※)醸形忍術症とは、自分の体について、人から見ても分からないような外見上の欠点にとらわれ、それにより日常・社会生活に支障が出る障害です。『身体醸形障害」とも呼ばれます。


ーー虐待を受けている間、毎日どんなことを考えていらっしゃったんですか。


これがね……そうですね……愛してほしいって思ってたんですよね。憎いとか嫌いとか…そういうことは一度も思わなかった。一度でいいから抱きしめてほしいなって、それしか思わなかったです。虐待って本当に罪深いですよね。この歳になっても泣けてきてしまうんですもんね。憎くないんですよ、今も。


ーー愛されたかったんですね。


そう。だから人を愛すことというか、愛する気持ちは分かるんですけど、人を愛したことが今までもなくて。人間を愛するという気持ちが分からないんですよね、今も。愛されたことがないって、愛する気持ちが分からないということなんだなって。愛し方が分からないということになるんだなっていう。それって結構人の人生を左右することだから…罪深いなと思いますね、母のしたことは。まあ、もう終わったことだから仕方がないけれど。



その後、遠野さんは16歳のときに母親との関係を断つために一人暮らしを始めました。しかし気持ちが完全に楽になることはなく、ついに20代後半で絶縁することを決意。以来、一度も顔を合わすことはなかったそうです。遠野さんと家族のその後について、詳細は動画へ。

【遠野なぎこ】「虐待は母の愛情だと思ってた…」壮絶な過去についてお伺いしました。


YouTube「たかまつななチャンネル」を運営する笑下村塾は、社会の問題を自分ごと化し、行動を起こせるような若者を増やすことを目的としている主権者教育を行う企業です。最後に遠野さんから子ども達へメッセージを頂きました。そこには当事者を想う遠野さんの本音がありました。


今、虐待を受けている子どもへ


ーーどうして思い出すのも辛い記憶をメディアでお話しようと思ったんですか。


誰かが声を上げないと。バラエティーや女優の仕事で、名前と顔を一致して頂いて、知名度が出てきたんだったら、自分の経験を話して、虐待されているという人がこんな身近にいるんだよと声を上げていけば、影響力は少しでもあるんじゃないかと思いました。みんな言えないし、家の中で起きていることだから、身近に感じられないんですよね。


ーーもし周りに「あ、この友達、虐待されているかも」とか、ご近所さん危ないかもとか、そういう虐待されてそうな子を見つけたときに、どうしてほしいとかありますか。


迷わず110番だと思います。私も「あれ?」と思ったら、おうちのそばに行ってみたりとか、気にするようにしてます。迷っている間に子どもが死んじゃいますから。もし怪しまれても、ごめんなさいって言えばいいんだから、それより子どもの命のほうが大切です。



政府広報オンラインでは以下のような緊急ダイヤルを設けています。

児童虐待かも?と思ったら「189」(いちはやく)こどもたちの未来を守るために

「189」(いちはやく)は

・匿名でお電話できます

・電話した人の個人情報や電話の内容に関する秘密は守られます

・虐待の連絡だけでなく、自分の育児の悩みも相談できます


「189」や「110」を含む3桁番号サービスは

公衆電話より無料でかけることができます。


3桁番号サービスについて

NTT西日本HPより


公衆電話の種類と利用方法

NTT東日本HPより



ーー最後にお伺いしたいんですけども、今、虐待とかネグレクト(こどもの保護を怠ったり養育を放棄したりすること)とか、いろんな形で苦しんでいる子どもたちに、ぜひ、メッセージをいただければと思います。

いや、難しいな…。私、すごい難しいと思う。虐待、これはね、難しいんですよ。きれいごとを言えば、きれいごとのメッセージが伝えられるんですけど、本当の本音を言ってしまえば……


遠野さんはこの後「ちょっとこれ使えないだろうな。使えないだろうけど」としつつも、自身の経験と重ね合わせながら、当事者の気持ちを想い、涙ながらに述べられました。


言ってしまうと、殺されてでも、そばにいたいんですよね、親の。実際問題、離れたくないと思いますよ。例えば、お父さんや内縁の夫に虐待を受けてるといっても、お母さんがそれで……そばにいてくれたり、後で、かわいがってくれたり「よく我慢したね」ってもし言ってくれるんだったら、その子は多分、虐待されても、それでそっちを選ぶと思うんですよね、お母さんと離れるよりは。複雑なんですよね、そういう心理って、多分。だから一概に「すぐ逃げて、児童相談所行ってね」とか「おまわりさんとこに行ってね」とは、なかなか言えないな、私の口からは。


ーーもし虐待されてたときの自分に会えたら、何か伝えたいこととか、ありますか。


うーん、あんまりポジティブなことが言えない…(笑)まあでも、そのまま生きてれば、今、私43歳になって、素敵な恋をしたりとか、素敵な友達ができたりとか、素敵なお仕事こういうふうにさせていただいたりとか、笑顔になれたりとか、楽しいこと待ってるよって言ってあげたいかな。


各省庁では、児童虐待に苦しむ子どもへのサポートの他、

子育てに悩む親への支援、情報提供もしています。


厚生労働省HPより

体罰等によらない子育てのために~みんなで育児を支える社会に~


こども家庭庁HPより

児童虐待防止対策



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