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  • 執筆者の写真笑下村塾

薬物逮捕を経験した高知東生、今、社会のために生きる

任侠の親分である父、その愛人である母に育てられるなど、波乱万丈な人生を前半のインタビューで赤裸々に語ってくださった高知東生さん。後半では、2016年の覚醒剤および大麻取締法違反容疑での逮捕にいたるまでの体験談と、現在の“依存症予防教育アドバイザー”としての活動や、さまざまな経験をされてきたからこその人生観について伺いました。 ーー薬を始められた背景には、やはり仁侠の存在などがあるんですか?

高知:前半の自分の過去を話すと、特殊な家庭環境や任侠、おふくろの自殺と関連するのかと思われるのですが、全く関係ないんですよ。 ーーそうなんですね!何が薬物のきっかけだったんですか?

高知:おふくろも亡くなり、自分の親父だと思ったものが親父じゃなかった、地元では任侠の親分の息子というだけで喧嘩を売られる。若い頃は本当に、喧嘩をしまくっていました。それが理由で自分の地元でいるのが苦しくなり、東京に逃げて、成り上がろうとしたんです。そして、バブル当時、狂ったように遊ぶ人たちが溢れていた東京の夜の街に、自分も入っていきました。そこで、稼いで、豪快に遊んでいる憧れる人が、ディスコでおしゃれに薬物を使っていて、俺も誘われたんです。



“田舎ものと思われたくない” 知ったかぶりから始まった薬物



ーー薬物の誘いは断れなかったんですか?

高知:高知でもシンナーは吸っていましたが、依存はしていなかったのですぐやめられると思っていたし、特殊な世界で生きてきたので普通の人が怖がるものを“何ビビってんの?”と軽くみていました。それに、かっこよく見せたい、田舎ものと思われたくない、せっかく東京で掴んだこのコミュニティを大事にしたい、という思いが強かったんです。だから、知ったかぶりして、吸ったことあるフリをして吸いました。その場で見よう見まねでわ必死にね。 ーーディスコで吸ってからハマってしまったんですか?

高知:そのときはなんにも感じなかったんです。でも、そこで一緒に吸っていた女性の家に泊まったときに、彼女にまた吸わないかと誘われたんです。そのときに男女の関係になって使うのはすごく衝撃的で...。そこから頻繁ではなく、そういう環境の仲間たちと会うと、使うようになってしまいました。って、俺今なんの話してるの?(笑)




ヤバイ!でも相手に気にして薬物を使い続けてしまう日々


ーー芸能界に入ってから薬を使うことは大きなリスクになるのに、その後なぜ逮捕までやめられなかったのですか?

高知:捕まる1年ほど前から、いろんなうまくいかないことが重なりすぎて、知らぬ間にそのストレスを解消するために薬物の優先順位があがっていたんです。それまでは自分でコントロールできていたのに。このままだとやばい、全てを失ってしまうということは分かりつつ、やめられなかったんです。僕と一緒に捕まった女性のことを、お互い悩みをさらけ出して、なんでも言えてしまう理解者だと勘違いをしてしまっていたんです。でも次第に、自分の中で弱みを握り合うことが恐怖になってきました。自分がやめたいと思っても、相手に反対されたり、誰かに告げ口されるのが怖くなる。 ーー薬物を一緒に吸っていた女性に、やめようと言ったことはありましたか?

高知:はい、でも週刊誌に売られたり、誰かに言われたり...そういう恐怖もありやっぱり離れることができなかったんです。 ーー逮捕されてから、またやりたいという気持ちにならないんですか?

高知:あのときはストレスがあって薬に逃げていましたが、今は正直言ってそんなストレスがないので大丈夫です。


お酒は控え、ストレスフリーな生活。自助グループの仲間が支えに



ーーストレスがない?!今の稼ぎとかはもちろん分からないですけど、俳優時代に比べたら多分収入も減っていると思うのですが...

高知:減ってるどころじゃないですよ。(笑)でもストレスはないです。今すっごい楽。でもそれは、同じ共感をしてもらえる仲間たち、自助グループっていうところがあるんだけれども、その仲間と繋がってるおかげです。社会的にも復帰して頑張ってる人たちの意見も聞けたり、そういったことが俺の支えになっています。それに、夜の遊び、お酒は断るようになりました。とにかく俺は夜はしらふでいるぞ、帰って即寝るぞっていう。(笑)


逮捕の経験も生かし、依存症予防教育アドバイザーとして活動



ーー今は、依存症予防教育アドバイザーの資格を取られて、啓発活動もされてるということなんですよね。

高知:人生で逮捕されるなんて経験そうそうない。だからそれを最大限に利用しようと決めたんです。逮捕されたらもう人生終わり、ではなく、逮捕されたことも経験を振り返って自分の経験を人のために役立たせたいと思ったんです。 ーー今どういうところでお話しされているんですか?

高知:同じように苦しんでる仲間やその家族など。大学の学生に向けてもリモートで講義をしました。自分の体験談で薬物の恐ろしさなどを話しています。 ーー薬に手を染めないために気をつけるべきことはなんですか?

高知:やっぱり言えることは、良くないことは、やっぱりNOと勇気を持って言うことっていうことが大事やと思う。俺は、田舎出てきてなんでも引き受けて、“こっちから染まってやるぞ”みたいな歪んだ気持ちがあったけれど、今の普通の人は学校でも薬はだめだと習ってる。それをちゃんと理解していれば、たとえ友達に誘われたりしても、断ることはできるはずです。


正直に苦しい気持ちを伝えられていれば良かった



ーーどうすれば薬をやらなかったと思いますか?

高知:もちろんそういった危険なところに行かないようにするのは当たり前だよね。あとは、俺の場合、振り返って思うと、全てを自分に抱え込まず、もっと人を頼ったり、SOSを出せれば良かったです。苦しいという気持ちを正直に言える自分だったらよかったなって。 ーーこれは勝手に思ったことなのですが、元奥様の高島礼子さんの記者会見見て、そういう弱音をもし伝えていたら、受け入れてくださったんじゃないかなと思いました。

高知:彼女のことはは逮捕後も励みになりました。俺のほうがわがまま三昧で、わけの分からん亭主関白だったのに、“同志であり親友であり”って言ってくれて。今も連絡はとらないけれど、芸能界で輝いているのを見ると、嬉しいし、ほっとします。



今薬で悩んでいる人たちへ。逮捕の心配は不要!相談窓口で正直に話そう




ーー今薬で苦しんでいる人たちはどうすればいいと思いますか?

高知:勇気を持って、全国に相談窓口もあるし、ネットで今調べれば自助グループであったり、薬から抜け出せられない人を受け入れる相談窓口があります。相談することでバレてしまう、逮捕されてしまうと心配になるかもしれないですが、「精神保健福祉センター」などであれば大丈夫。そのほか、僕も関わっている「ギャンブル依存症問題を考える会」っていうのがあります。本当にどうしていいか分からなければ、そこに連絡をくれればへ、あなたの状況を聞いて、アドバイスをしてくれます。でも俺も今勉強中。はっきりとしたことは言えないけれども、本当に何よりも一人で苦しまないで、抱え込まないで勇気持って、経験ある人に頼ってほしいと思うし。僕自身、今はその仲間たちの存在に本当に助けられています。

目標は持たず、毎日に感謝して生きていく




ーー説得力がありますね。これからの目標はありますか?

高知:今は目標を持たないようにしています。目標を持つことでストレスを与えないようにするために。自分で立てた目標に自分が追いつけないときに苦しんだりしてしまうからです。 ーー目標を持たない人生っていいかもしれないですね。

高知:今は本当に、今できること、今日という日を本当に楽しみ、今日という日を本当にありがたく思う。だってそう思うから今日があるじゃないですか。今日を楽しんで頑張ってやってることの積み重ねが、いずれ形となる。神様は明日、どんなプレゼントをくれるんやろう、どんな出来事をくれるんやろうっていう楽しみに変わってる。だから先のことは考えないことにしている。 ーーすてきですね。本当にたくさんの人が勇気をもらってると思います。ツイッターでもたくさんの人が応援していますし。

高知:そうかな。俺あのTwitterのっけるのもすっごい時間かかってんねやから。俺本当にひらがなしか書けないので(笑) 文字数がいっぱいになっちゃうから、仲間に、こう伝えたいんやけど、これどうすればまとまって、何かいい言葉ないかなってアドバイスもらってなんとかしています。 ーーこれからも楽しみに拝読しますので。

高知:プレッシャー与えるな。(笑) ーーありがとうございました。 動画はこちらから

記事の前半はこちらから

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