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  • 執筆者の写真笑下村塾

38年間現役で朝立ち、趣味は格闘技観戦…元総理大臣・野田佳彦議員が考えるこれからの日本とは?

こんにちは、スタッフの池田です。

政治家のパーソナルな部分にまで踏み込んで質問することで、政治家との距離を縮め、政治を身近にするインタビューシリーズ。今回は、元総理大臣で立憲民主党の野田佳彦議員です。総理大臣を辞任された後の活動は?奥様との出会い、趣味は?その人柄にジャパンエフエムネットワークのラジオ番組「PEOPLE~たかまつななの政治家とだべろう~」にて迫りました。(取材:たかまつなな/笑下村塾)

※こちらは2023年 12月 14日に収録した内容です。


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野田佳彦さん:62歳。1957 年(昭和32年)生まれ。千葉県船橋市出身。早稲田大学政治経済学部を卒業後、松下政経塾の1期生として入塾。5年間学んだのち、千葉県議会議員として政治家のキャリアをスタート。92年、日本新党の結党に参加し、翌93年の衆議院議員選挙で初当選。2011年には第95代内閣総理大臣に就任、現在は立憲民主党の最高顧問。

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対談動画はこちら




政治家として38年経った今も、駅前で朝立ちを続ける 


ーー野田さんは2011年に第95代内閣総理大臣に就任。現在は立憲民主党の最高顧問を務めていらっしゃいます。元総理大臣の方にお越しいただくというのは初めてで、本当にありがとうございます。しかも未だに駅前で政策を訴える朝立ちをされているんですよね。


野田:1986年の10月1日から、総理のときはできませんでしたが38年目ですね。月曜日から金曜日まで、時間は大きな駅だと朝6時~9時まで、普通の駅だと6時半から8時半までです。


ーーこの番組を聞いてくださっている方も、会いに行けるんですか?


野田:大雨が降っているなどなければ立っていると思います。ホームページに予定があります。夏休みなどは来られる方が多くて、本当にやっているか確かめに来る若い子も結構います。


ーーそのままお話もできるんですか?


野田:もちろん。私もビラを配りますから、一人の方とずっととはいきませんけど。例えば北海道など遠くから来たと言われるとこちらも嬉しいので、質問があれば丁寧に答えます。色紙を書いたり、一緒に写真を撮ったりもしますね。




仕事先で妻と運命的な出会い。格闘技観戦の趣味も


――1989年にご結婚されていますが、奥様との出会いはどういったものですか?


野田:松下政経塾を1期生として卒業したあと、仕事もなくフリーターをやっていましたね。ある病院の新病棟のオープニングセレモニーで、声楽家を呼ぶイベントがあり、司会として参加していました。その声楽家のマネージャー的な役割の女性が、私の家内になる人でした。


ーー運命的ですね!野田さんの一目惚れですか?ご結婚を決められた理由は?


野田:運命的かわかりませんけど、そろそろ回答は控えたい(笑) 

私より6つ年下なのにしっかりしていて、江戸っ子だからか、例えば、お風呂に菖蒲を入れたり、ゆずを入れたり、季節の風物詩に沿ったことをきちっとやる女性でいいなと思いました。七草粥も出たりします。家ではなかなかゆっくりできませんが…。


ーーお忙しいですよね。ちなみに野田さんはご趣味をお持ちなんですか?


野田:格闘技観戦が大好きで、たまに勝手に見に行くと怒られちゃいます。プロレスもずっと見ていて、去年は武藤敬司さんの引退試合も行きました。


ーー野田さんがいらっしゃったら、びっくりされるんじゃないですか。


野田:その試合で武藤さんが場外の蝶野さんを呼び、リングに上げるシーンがあったんです。たまたま蝶野選手の後ろに私がいたので、画面に映っちゃって、プライベートでこっそり行ったのにバレました。映像も残っています(笑)。





人生で一番難しかった安倍元総理への追悼演説


ーー野田さんと言えば安倍さんの追悼演説です。私も拝聴してすごいなと思いました。

野田:オファーがあって、本番まで19日間。ですが、1週間ほど何も思い浮かばなかったんです。麻生さん、菅さんのように、仕事仲間だったらエピソードがいっぱいあると思うんですよ。でも同じ党ではない上、プライベートでもお付き合いはないため、エピソードが限られているので、どう組み立てるか難しかったです。しかも、総理大臣をしていたころ、安倍さんと党首討論後、解散を約束し、私の政党は負けるわけじゃないですか。政権を引き渡した側としては複雑な感情もあります。


ただ亡くなり方が極めて残念ですし、ご無念でしょうから。追悼演説で、与党も野党もいるところで、みんな政治的立場も違います。褒めすぎると野党が引く、けなしたり、ケチをつけたりすれば与党が引く。ご遺族も来られる。万人が耳を傾けていただける演説はなかなかありえないので、相当苦労しました。多分人生で一番難しい演説だと思います。


ーーすごかったです。誰かに相談したりしたんですか?反響もすごかったのでは?


野田:秘書であるとか、1人、2人には見てもらいましたけどね。電通の手は借りていません。(笑) 反響はおかげさまで。やはり政党が違ってもお互いに認め合う点みたいなのはあるんですねとか、一致点を見出すような政治って大切ですねといった共感のメッセージは多かったです。




総理大臣として国民の暮らしがかかる決断をする苦労



ーーところで、もう一度総理大臣になりたいと思われたことはありますか?


野田:思わないです。意外とね。なりたいと思っても、たどり着かないところですし、逆に遠ざかるんじゃないでしょうか。重い仕事なので好んでやるという感じではないです。とても大変でしたし、今は以前よりも困難な時代になっていると思います。


ーー何が大変でしたか?


野田:最後に相談する人が誰もいないところじゃないですか。議論が煮詰まって、右を選ぶか左を選ぶか。1億2000万人の暮らしがかかっているとき、大体不人気なことが正しいと思うんです。あえてそれを選べるかの繰り返し。増税のように将来の世代を考えると、今の世代が負担しなきゃというテーマは多いので。


――当時、力を入れていたのは社会保障と税の一体改革ですね。


野田:一番大きな政治課題でした。今も変わらないと思います。老後や子育ての不安は、全て社会保障でまかなう必要がある。安心できて、ようやく財布の紐を開いてお金を使う気持ちが出てくる。不安があったらお金を稼いでも使いませんから。

当時、消費税は医療・年金・介護の高齢者の3経費で使われていました。それを先輩世代を支える下の世代、人生前半の社会保障にもと、子育てや若者の就労、教育支援にシフトしていこうとしました。


ーーもし増税していなければ、もっと長く総理大臣を続けられたとは思わないですか?


野田:そうかもしれませんね。党内の反対も多かったですから。


ーーそれでも増税が必要だと思った。


野田:政権の延命を図って国の方向性を誤るより、厳しいかもしれないけど、自分が納得する選択で、きちんと仕事をしたほうがいいと思いましたね。





「政治とカネ」の問題。野党としてどうあるべきか


ーー今、自民党の裏金問題が報じられていますが、どのように見ていらっしゃいますか?


野田:最初に5年分の収支報告がないという告発が報じられ、だんだん明らかになってきたのは、自民党の5つの派閥全て、特に安倍派で5億円もの裏金が記載されていなかったということでした。


これは政治資金規正法違反。本当は所得が発生してたのに、記載されていないので納税の申告もしていない。明らかに脱税です。遡ればもっと巨額な金になるかもしれない。そんな政党が予算を語ったり税制を語ったりする資格があるのかと思うぐらい、国民は怒っていると思います。


物価高で苦しみながらもコツコツ働いて納税し、中小企業の経営者だって賃金を上げなきゃいけないから悪戦苦闘している中で、今、政治家がどう見えるのか。30年ほど国会に関わってきましたが、ここまで「信無くば立たず」という言葉が重要だと認識したことはありません。国民の心が離れていく、非常に悪い予感がしますね。


――岸田政権は2年以上経ちました。総理を経験した野田さんから見て「足りないな」と思うことはありますか?


野田:事の重大さに気づくのが遅いと思います。政治とカネの問題も、当初、各派閥ごと適切に対応をと判断していました。しかし「収支報告書を訂正すればいい」といううっかりミスの話ではなく、ちゃっかりとした魂胆というか、しっかり裏金を作っていたわけです。その犯罪性の質(たち)の悪さ、根の深さがわかっていないことに感度が悪いと感じました。


物価高の問題も、2023年6月21日に国会を閉じて、その後もずっと物価が上がり続けていたのに7~9月と長い夏休みを取って、ようやく10月から臨時国会を開き、経済対策を指示した。遅いんです。だから7~9月の間、経済成長はマイナスに落ちています。物価が高くなり、国民が買い物を控えたから。感度が低い分、対策を講じるのが遅れる。しかも一番有効だと思っているのが減税。これも夏に実施でしょ。全部ズレています。

ーー一方でNHK世論調査では、立憲民主党の支持率は7.4%と、低い数字だと思います。支持を得るため足りない点とは?


野田:野党としての役割として、政治とカネの問題を厳しく追及、全容を解明するのが大きいと思います。でも、政権を取りに行くためには、外交安全保障や財政、金融といった骨太の政策で安心感が出て、初めて託してもいいねとなりますから。もう少し力を入れなきゃいけないだろうと思います。


ーー私自身も政権交代が起きてほしいなと思いますが、野党がバラバラすぎるなとも思います。立憲と維新などが一緒に政権を取ると言えば、(票を)入れたい国民も増えると思うのですが、難しいんですか?前回、国民民主党の玉木さんに来ていただいて、野党が一緒になってもらわないと困りますよとお話ししても、野党第一党と野党第二党がこれだけ仲が悪かったら何もできませんみたいなこととかをおっしゃられていたりしたんですけども。


野田:去年の臨時国会の不信任案で、野党全党がまとまったじゃないですか。政治に対する不信感があるときには、野党がまとまって何ができるか問われます。維新とも、もちろん一緒にやっていかなくてはいけないと思います。例えば、維新は関西で間違いなく(選挙に)強い。得意な地域、苦手な地域もあるので、うまく一本化していけば、もっと強くなると思います。


ーー期待しています。今、もし政権交代、この状態で起こらなかったら、私は日本の民主主義に対してすごく心配です。


私は政権交代こそ最大の政治改革だと思います。汚れた話が出てきたときに、ボウフラが湧かないようにするには、どぶさらいが必要じゃないですか。このどぶさらいが政権交代だと思いますから。


総理大臣の経験から考える、世界における日本のあり方


ーー外交・安全保障も必要だというお話ですが、世界情勢の現状を踏まえ、日本はどのような立ち位置を目指していくべきだと思われますか?


野田:日本にしかできない外交があると思っています。総理大臣のとき、国連総会で一般討論演説をしたんです。各国首脳の持ち時間が15分。国連事務局から順番の希望を聞かれたのに、なぜかランチタイムの12:00からと決まり、ギャラリーが減って寂しいなと思ったんですが、違いました。イスラエル、パレスチナの間に、日本が演説する順番になっていたんです。当時もネタニヤフ首相(イスラエル)だったんですけど、激烈な演説をして次に演説するパレスチナを刺激する可能性があった。私のテーマは「紛争の平和的解決」。12年前は尖閣諸島や竹島の問題があったので、そのテーマで15分演説しました。で、次が、これも現在と変わっていないんですが、パレスチナ自治区のアッバス議長。イスラエルとパレスチナの演説を聞きたいから、ギャラリーはすごくいっぱいいるんです。盛り上がったところで、私が演説せざるを得ない。でも、あれは国連事務局の配慮だと思います。


当時もイスラエル、パレスチナの順番だったら、何が起こるかわからないぐらいの状況。ワンクッション入れるための日本だった。ネタニヤフ首相が演説を終えたときは「お疲れ様」として握手をする。自分が演説を終えたときは、アッバス議長に「頑張ってね」と握手する。これは日本でしかできない外交だと思ったんです。この二国間の長年に渡る怨念だから、そう簡単ではないんですが、その間を繋ぐことが日本にはできると思いました。日本の仲裁役としての独立性というのが、必ずあると思います。


ーー最後に皆さんに共通して尋ねています。ご経験された野田さんにはあえてですが、もし総理大臣になったらやりたい政策はありますか?


野田:政治改革です。私が衆議院1年生にだったときの最大のテーマが「平成の政治改革」だったんですよ。「政治資金規正法」などいいものを作ったつもりだったのに、残念ながら、今回抜け穴もあったということがわかりました。だからもう一度政治改革を、どぶさらいをしなきゃいけない。その信頼を(政党として)どうやって勝ち取るかというところから始めなきゃいけないんじゃないかと思います。


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